義理の実家の仏壇を処分…準備の手順とは
大きな家具などを処分するのはとても労力がいるものです。今回は、50代60代の暮らしについて発信する整理収納アドバイザーの原田さよさんに、義理のご実家にある「大きな仏壇を処分」した体験談を聞きました。
すべての画像を見る(全8枚)わが家で同居を始めた義母は、それまで田舎の広い家でひとり暮らしをしていました。同居は納得していたものの、心配だったのはあき家になってしまった家と、そこに置かれたままの古い大きな仏壇のことでした。菩提寺(先祖の位牌を納めてあるお寺のこと)と夫の実家とは昔から濃いおつき合いがあり、なおさら気がかりだったのです。
その義理の実家が売れることが決まったので、いよいよ仏壇を処分するべく、魂抜き(宗旨・宗派によっては「閉眼供養」「性根抜き」ということもあります)をすることになりました。5年前のことですが、仏壇の魂抜きの段取りは今もさほど変わらないと思うので、当日の流れやかかった費用のことなどをまとめてみます。
仏壇の魂抜きをする日程や服装について
魂抜きとは、仏壇を処分したり動かしたりする前に行う法要のことです。日程や当日に必要なもの、お仏壇の飾り方や服装などについては、菩提寺と相談しながら進めました。
わが家は菩提寺とのおつき合いが続いていたのであまり迷いませんでしたが、不慣れだとか不安だとかいう場合は、まず親戚や友達に聞いてみるのもいいと思います。ちなみにうちの場合、親戚を含め全員が喪服かそれに準ずる服装でした。
仏壇の魂抜きにかかった費用
夫の実家にあった仏壇の魂抜きにかかった費用は、合わせて約12万円ほどでした。仏壇そのものの解体費用がないのは、あき家になった義実家を売却するときに、いっしょに処分してもらうことにしたからです。
・お布施…50000円
・お車代…0円(近所だったため)
・お膳料…5000円
・仏壇へお供えするもの…5000円
・仏花代…3000円(お仏壇とお墓、両方で)
・茶菓子や飲料代…3000円
・お昼会食代…37000円(部屋代含む)
・お返し代…15000円
お供えしたものは親戚で分け合って、それぞれ持ち帰ってもらいました。
お布施・お車代・お膳料の決め方について
仏壇の魂抜きをしてもらう際は、菩提寺へお布施とお車代を渡すのが一般的で、お膳料(食事の代わりに準備するもの)を添えるのは珍しいかもしれません。お膳料をお渡ししたのは、魂抜きのあと親戚と一緒に食事をした席に、住職が来られなかったからです。法要の後で親戚と一緒に食事をしたのは、家や土地も処分するため、区切りのご挨拶をするためでした。
お布施の金額については、身近な人や、利用したことのある葬儀社に聞いて決めるのがおすすめです。また、仏壇を購入したお店で教えてくれる場合もあるそうです。
仏壇の処分の仕方について
魂抜きを行った後のお仏壇は、自治体のクリーンセンターへ持って行ったり、燃えるゴミとして処分したりしても問題ありません。また、お寺や仏壇店、葬儀社のなかにも、仏壇や位牌の処分を請け負ってくれるところがあるので、問い合わせてみてもいいでしょう。
処分したあとの罪悪感との向き合い方
あき家になった義実家は、何百年も長男が継いできた家でした。もし私が夫の実家で同居していれば、あのお仏壇は処分せずにすんだかもしれません。魂抜きのときに見た過去帳には、元和や寛永の文字があり、なんとも言えない申し訳ないような気持ちになりました。
でも、お仏壇の魂抜きを終えてからは、これでよかったのだと思えるようになりました。狭いわが家ですが、家にある小さい仏壇とともに、義母と夫と私とで平和に穏やかに暮らしていこうと。
もし、年末年始に帰省されることがあったら、実家や義実家にある仏壇の今後について話をしてみるのもいいのではないでしょうか。ちなみに私のほうの実家の仏壇は、タンスに乗せられるサイズなので、母がいる有料老人ホームの居室に置くことができました。
ぜひ、私の体験談が少しでも参考になることを願っています。
※記事の初出は2023年12月。内容は執筆時の状況です。