持続可能な社会をつくるための「SDGs」。じつは私たちの暮らしのなかで取り組めることがたくさんあります。野菜の高騰が続く今、注目を集める「家庭菜園」「都市菜園」について、SDGsに詳しいフジテレビの木幡美子さんが詳しくレポートします。

野菜
野菜の高騰問題…どうする?
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この春、野菜が高い!「野菜高騰」を取り巻く事情

スーパーの野菜売り場で今日もためいき…。

「ブロッコリー299円」「きゅうり1本74円」

4月の東京都内のスーパーでの価格です。ブロッコリーは以前はだいたい200円前後くらいだったので、約1.5倍くらいになっているように感じます。とくに葉物が高く、レタスはひと玉で買うのをやめ、葉が数枚入った個包装を買うようになりました。それでも192円でした(※価格はすべて税込み)。ただ高いだけではなく、野菜が心なしか元気なく見えます。

いったいなぜだろう? と思って調べてみると、原因はひとつではないようです。まずは天候不良。昨年の夏の記録的な猛暑による野菜の生育不良や、今年の3月の寒さなどなど異常気象が野菜の生育に悪影響を及ぼしています。そういえば、昨年の夏は本当に暑かったですよね。世界的に見ても観測史上暑い夏で、地球が悲鳴を上げているようにも感じます。

さらに、物流2024年問題が! トラック運転手の“働き方改革”とも言われていますが、労働時間に関する法律改正により物流業界に大きな影響が出ると報じられています。輸送費に含まれるガソリンの価格も上がっているため、野菜を運ぶのにこれまで以上に費用がかかってしまうのです。

肥料の価格も上がっています。これは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻などが影響していて、なかなか解決のきざしが見えてきません。そう考えると、野菜はしばらくは「高値安定」となってしまいそうです。

「家庭菜園」は小さなスペースでも可能

プランター菜園
家庭で育てられたスープセロリとレタス

いっそのこと家のベランダなどで野菜を育ててみようかなぁ…と思っていたら、私のまわりで自宅で野菜を育てている人が結構いることがわかりました! レタスやスナップエンドウ、シソやハーブなど、小さいスペースでも栽培できるものも多く、意外と簡単だそうです。

レタスとスナップエンドウ

同僚が自宅で育てたレタスとスナップエンドウを見せてくれました。みずみずしくて、じつにおいしそう!

ちなみに、スナップエンドウをスーパーで見てみたら322円(税込み)でした。長崎産と記載されていたので、これを東京まで輸送してきたわけですね。当然のことながら、その過程でCO2をたくさん排出しています。

自分たちで野菜を育てるメリットは?

家庭菜園のメリット
農家⇔食卓の距離を近づけることで、さまざまなメリットが!

これを自分で育てれば、「生産地」と「食卓」の距離が一気に縮まるので、輸送のコストや運ぶときに出てしまうCO2も削減できて環境に優しいのです! 万が一、地震などの自然災害が起きてお店が閉まったり、外出ができなくなった場合も野菜がすぐ食べられたら助かりますよね。

そんなこともあり、農家が行う「農業」ではなく、一般の人が都市の空きスペースなどを使って行う都市農園「アーバンファーミング」は、だれもが楽しみながらできる気候変動対策であり、家計節約にもなり、また災害時の食料対策でもあるのです。

世界を見渡すと人口は過去最高の80億人、2050年には100億人になるといわれています。そうなると食糧不足がますます進み、都会で暮らす人々の食料不足が心配されています。

とくに日本の食料自給率は30%台と低く、種の自給率は10%以下と言われていて、これもそのうちゼロになる日も近いそうです。