日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。夫に「つき合っていたころと同じようには愛せない」と言われて絶望した専業主婦の奈央さん(仮名・40代)。孤独な状況で初めての出産を乗り越えたものの、育児の場面でも夫とすれ違ってしまい、レスが深刻化。しかし精神的につらかったのは、子どもの発達がゆっくりだったことでした。
すべての画像を見る(全4枚)ワンオペで初めての育児。「ほかの1歳児と少し違う…」
結婚を機に東京から東海地方の某市へと移り住んだ奈央さんは、思わぬタイミングの妊娠に戸惑いつつも出産。急な帝王切開によるお産で身も心もボロボロななかで育児生活がスタートしました。ここでもまた夫とのすれ違いが多かったと振り返ります。
「必死に産んだわが子。一時預かりやシッターは使わず、私は極力自分ひとりで育てていました。周りのママは、近くに頼れる実母がいたりする人が多くて、そういう意味での東京を離れた孤独をいちばん強く感じた時期でもありました。そして、1歳に近づくころ、ちょっとずつ周りのお子さんとの違いが気になるようになったんです」
当時のお写真には、母子並んでニコニコうれしそうに笑う姿が。順調に大きく成長している様子に見えますが、どういうところが気になったのかも具体的に聞いてみました。
「まず視線が合わないこと。子どもの向いている視界の直線上にこっちからのぞくように入っていっても、ふっとそらされてしまう。『うちの子は人見知りがすごくて…』なんていう他愛ない話をしているほかのママのお子さんですら、ちゃんと目が合うのに、どうしてうちの子は人の目を見ないんだろう? と気になりました」と奈央さん。
一歳半健診が近づくころになると、頭をぶつける自傷行為のような行動も始まったといいます。しかし、医師に相談しても、それだけでは具体的な診断はつかず。「しばらく様子をみましょう」と言われておしまいでした。
「発達障害かも…」心配する妻を夫が全否定してきた
子どもの気になる行動について奈央さんが夫に相談したこともありました。すると夫は「俺とはちゃんと目が合う。自傷行為っていったって、こんな小さいのに、そんな病的な行動みたいな言い方するなよ」と一蹴。
「たまに育児に参加するだけの夫は子どもの部分的な側面しかみえていません。支援センターとか公園で、同じくらいの月齢の子がどういう様子なのか、比較したことがないのです。そこを1日でもいいから休みをとって見に行ってくれたら違うのにとさえ思いました。『発達障害かも…』と心配する私の意見は真向から否定。ぜんぜん話し合いができませんでした」
自分の子どもはかわいいし、「育てにくい子」なんて表現をしにくいのが親心。とはいえ、2~3歳ごろまでは本当に大変だったそう。ほぼワンオペでも、一生懸命に愛情をかけて育てた子どもはすくすくと成長しました。
「療育につながって気持ちが少しラクになった」
幼稚園では、ほかの子と遊ばずにひとりで過ごすことが目立っていました。そういう場面を目にするたびに、胸がつぶれる気分だったと振り返る奈央さん。
「発達障害があるのかもしれない、どうすればいいんだろう、そうモヤモヤしていた時期が大変でした。結局どうすればいいのかわからなくて、自費の10割負担で検査を受けられるところを見つけて、診断がついたときには、『やっぱりそうだったんだ』って気持ちがラクになりました」
そこからは行政や療育につながることもできて、積極的に改善をしていこうというルートへ。「子どもに診断名をつけたいわけではなかったけれど、結果的にはよかった」と奈央さん。