市販の漢方薬を試してみる方法も

天野先生の治療は、患者さんの話をよく聞き、不調の原因を説明することから始まります。45~50歳の初期の不眠にはホルモン補充療法が比較的効きますが、それ以外のメンタル症状によく使うのは漢方薬。患者さんが“今いちばん困っている症状”を聞いてそれに合う漢方薬を処方します。

受診の前に、下記を参考に自分の症状に当てはまる市販の漢方薬で効き目を試してみるのも1つの方法です。漢方薬や抗不安薬などを用いても改善がみられない場合は、精神科の専門医を紹介しているそうです。

漢方薬のイメージ画像
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●酸棗仁湯(さんそうにんとう)

不眠。体は疲れているのに眠れない。

●甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)

精神的に不安定になり、ささいなことで不安になったり悲観的になったりする。

●加味帰脾湯(かみきひとう)

胃腸が虚弱で顔色が悪く、抑うつ的。貧血やもの忘れ、動悸などが起きることもある。

●桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

神経質、不安や不眠がある。やせて顔色が不良で疲れやすい。驚きやすく動悸やめまい、寝汗を伴うことがある。虚弱。

●半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

気分がふさぎ、喉や胸がつかえる感じがする。胃もたれ、おなかの張り、動悸を伴うこともある。几帳面な性格。

●柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

不眠、不安、イライラがある。驚きやすい、怒りっぽく攻撃的。気分は不安定で変わりやすく、落ち着きがない。

●三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)

のぼせて顔が赤く、精神的にも興奮している。便秘、イライラ、頭痛、耳鳴りを伴うことがある。

●抑肝散(よくかんさん)

イライラしやすい、怒りやすい、落ち着きがない、興奮しやすく神経過敏。まぶたや顔面の筋肉のけいれんを伴うことがある。

●加味逍遙散(かみしょうようさん)

不安やイライラがある。
※幅広い不定愁訴に有効な更年期障害の代表的処方

●桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

便秘、イライラ、のぼせを伴う月経困難症や精神症状がある。月経前にイライラする、急に精神的に不安定になる。

※ 参考文献『女性外来のための漢方処方ガイド』(じほう)

心の安定は体を整えることから

心が安定するイメージ画像
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心と体の状態は切り離せません。天野先生によると、メンタルの改善に直結する生活習慣は運動と入浴。それによって血流がよくなり良質の睡眠が得られ、気分の改善につながるのです。

更年期以降は、ただでさえ夜間のメラトニン分泌が減るため、熟睡が難しくなります。したがって年齢を重ねればより一層、快眠のための生活の見直しが重要です。まず私たちがすべきは、朝昼晩の規則正しいサイクルを身につけて体の状態を整えること。それだけで気持ちが上向きになるケースも多いのです。

●よく眠るための生活9か条

【朝】
・毎日同じ時刻に起きる
・起床したら日光を浴びる

【昼】
・ウォーキングなどの軽い運動をする
・昼寝は16時より前に30分以内で
・夕方以降はカフェインを摂らない

【夜】
・入浴は就寝の1、2時間前に
・就寝前にスマホやパソコンを使わない
・就寝前のアルコールは避ける
・夕食から就寝まで3時間以上空ける

 

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