忠告を頼まれたら、自分の経験として素直に聞ける形で話す
すべての画像を見る(全4枚)それでは悩んでいる人に忠告を頼まれたときはどうしているのでしょう。私の子どもよりも年上の子どもを持つフランス人ママに、自分のしつけでうまくいかないところを相談したときに、「あなたのやり方は間違っている。こうした方がいい」というふうに言われたことはありません。
その代わり、「じつは私も同じような経験があって、うちの子どもが小学生のときに…」というように自分の個人的な体験を話してくれました。子育てはデリケートな話題です。言い方によって傷つく人もいると思います。私自身が親としてダメなわけではなくて、親ならだれでも通る道だということ、そして彼女が試してうまくいったこと、うまくいかなかったことを話してくれました。
自分ごととして話してくれたおかげで、私は卑屈にならず素直にそのアドバイスを受け入れることができました。
ただ、家族同士の場合は別の話。はっきりと批判されることはもちろんあります。
人の話を聞くときは年齢に関係なく、無垢の心で
フランス人に日本の「先輩・後輩」という概念を説明してもなかなか理解されません。23歳の新入社員と55歳のベテラン社員がすぐに親友になれる国なのです。自分が若手の立場だったときは年上の友達といることになんの違和感もありませんでした。
でも自分が上の立場になってみると、今までの経験やそれによって得た自信が「素直な自分になること」「初心者の気持ちになること」を邪魔すると感じています。
30年前、私の親友が無垢な心で私に接してくれたおかげで、彼女だけが私になにかをもたらすのではなくて、相互的なギブアンドテイクの関係にしてくれたのだと思います。私も若い友達ができたら無垢な心で、知らないことをたくさん教えてもらおうと思います。
意外に心細やかなフランス人の本当の姿
フランス人といえば個人主義でずけずけとものを言うというイメージがあるかもしれません。自分がしたいこと、嫌なことについてははっきり主張しますが、他人のやり方や忠告などについては、それぞれ個人の意見を尊重してくれるようなデリケートな心づかいをする面があります。私はそんな繊細なところが好きです。