健康と節約のために自炊で、おいしく食べる工夫を
生活費の中でいちばんかかっているのは食費ですが、健康のためにもこだわりたい部分なので、ここは削りません。でも、外食はほとんどしないし、お惣菜を買ってくることもないので、その分は安くすんでいるはず。自炊がいちばんの節約です。
「食材を無駄にすることはありません。半端に残った野菜は漬物にするなど、工夫をしています。葉物や薬味の野菜、ハーブなどは庭でつくっているので買いません」
野菜の芯や皮などは土に埋めて堆肥しているので、野菜の肥料に使えて一石二鳥です。食いしん坊なので、おいしく食べるための工夫は苦にはならないそうです。
すべての画像を見る(全5枚)年齢を重ねると、自炊がおっくうになることがあります。多良さんは、そんなことはないのでしょうか。
「元々、私はクイック料理が専門。障がい児を抱えての生活だったので、料理だけに時間をかけていられませんでした。今も、調理時間15分で完成するような簡単なものばかりです。早くできる理由は、買い物してきた後に、まとめて下ごしらえをしてしまうからです。
たとえば、鶏肉や豚肉は小分けにして冷凍。ショウガは、スライス、千切り、すりおろしてから冷凍します。一気にしてしまえば面倒ではなく、毎日がラクになるメリットのほうが大きいですね」
たとえば、よくつくる「三枚肉のチャーシュー風」は、小分けして冷凍した豚バラ肉の塊を、冷蔵庫に移動して解凍。そして、600w電子レンジで3分、裏返して3分加熱し、調味料につけておくだけ。そのまま食べてもいいし、炒飯の具にしたり、ラーメンの上にのせたりしてもおいしいそうです。
ごく普通の料理が、器のおかげでおいしそうに。節約の強い味方です!
そんなクイック料理を助けてくれるのが、多良さんがずっと集めてきた器です。姉の多良美智子さん(YouTube「Earthおばあちゃんねる」で活躍中のYouTuber)をはじめ、ほかの姉たちも器好きだったので、自然にそうなりました。息子が小さいころ通っていた養護学校の近くに陶器に窯元が集まる地域があったので、送迎の合間に立ち寄り、少しずつ集めたりもしました。
「私のごく普通の調理も、器のおかげでおいしそうに見えます。器はずっと使えるので、食費の節約の強い味方と言えるかもしれません。今は年金生活なので、新しいものはほとんど買いませんが、時々はお小遣いを貯めて。器屋さんのネットショップで、次はなにを買おうかなと見ているだけでも楽しいです」
多良久美子さんの著書『80歳。いよいよこれから私の人生』(すばる舎刊)にはほかにも節約法や簡単料理などが掲載中です。