口呼吸を予防する「かにゆで体操」
慢性上咽頭炎を治療するには、医療機関でEATを受けるのがベストですが、痛みを伴うことや、正しい知識を持つ医師でないと行えないという側面もあります。
そこで、慢性上咽頭炎を予防し、症状の悪化を防ぐのにおすすめのセルフケア、「かにゆで体操」を紹介します。
すべての画像を見る(全4枚)立ったまま「かにゆで」と発声
- (1)<か>舌先を上あごに当てるようにする
(2)<に>口角を左右に思い切り広げる
(3)<ゆ>唇の先を突き出す
(4)<で>下あごを上にあげ、舌をとがらせてまっすぐ上に向かって突き出す
下あごや頬のたるみの改善効果も期待できますよ。
「かにゆで体操」は口の周りの筋肉(口輪筋)をやわらかくして、舌の位置を正常化し、自然と鼻呼吸を促します。口呼吸は慢性上咽頭炎の一因となるので、普段から鼻呼吸を意識することが大切です。
自律神経障害の原因が、慢性上咽頭炎のことも
慢性上咽頭炎は自律神経の調節異常を引き起こし、めまい、吐き気、便通異常、胃の不快感、全身倦怠感、うつなどの症状を招くこともあります。
実際に、めまいや片頭痛など自律神経の乱れが関わると考えられる患者さんには、激しい上咽頭炎が認められることがよくあり、EATを行うと症状が軽快します。
詳しい理由は割愛しますが、上咽頭に慢性的な炎症があるということは、その炎症による刺激が常にストレスになり続けるということです。結果、自律神経の障害とそれに伴う多くの病気や不調を招くのだと考えられます。
自律神経障害による不調を訴える患者さんは、検査をしても異常が見つからないことが多く、不定愁訴と片づけられてしまうことも少なくありません。ですが、もし、そこに慢性上咽頭炎が関わっているのであれば、EATによる診断・治療が容易で、しかも即効性も期待できます。
そのため、自律神経障害が関わっていると思われる不調で、他の原因が特定できない場合には、慢性上咽頭炎を疑ってみて、EATを実施できる医療機関を受診することをおすすめします。
堀田修先生の最新刊『その不調の原因は慢性上咽頭炎にあった』(扶桑社)では、症例とともに、慢性上咽頭炎について詳しく紹介しています。新型コロナ後遺症への治療効果など、最新の症例にも注目です。