年齢を重ねて変わっていった「老い」に対する考え方 

石丸幹二さん
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幅広いジャンルの仕事をこなしながら、キャリアを積み重ねて現在58歳の石丸さん。年齢とともにできることがだんだんと限られてくるからこそ、「できること」の確認をあえてしているそうですが、「できなくなった」ということを受け止めるのに、ショックを受けたりしないのでしょうか?

「全然ありますよ! でもね、みんなそう。みんな、年齢を重ねと、できなくなることが増えていく。だから、そのタイミングをなるべく長く引き延ばすようにしています。たとえば、ふき掃除って、体の筋肉をいっぱい使うんですよ。床や棚をふくときは、なにかに任せるのではなく、あえて自分の体を動かす。無理はせずに、長く続けられるように意識して、自分でなにか行動を起こす。この年になってそれが大事だと思いましたね」

自分ができないことが増えていくと、劣等感が生まれて、つい周りと比べてしまう…なんてことはありませんか? しかし、「それは気づくのが早かったというだけ」と、優しい言葉で返してくれて、こう続けます。

老いみたいなものを感じても、自然なことと受け止めると、少しラクに生きられますよね。物事を忘れちゃうのは仕方ないです。大人になった証拠ですから。年齢による変化を『まあいいや』と思い、自分なりにできたらいいよと考えてみる。僕の60代ぐらいはきっとそうなってくるかもしれません。だから、割り切って楽しめるんじゃないかな」

これまで、数々のインタビューで俳優人生は「ロッククライミング」と表現してきた石丸さん。しかし年齢を重ねるにつれ、「登る山」の意識は変化しています。 

石丸幹二さん

20代の頃は見上げなきゃいけないほど高いところに登ることが楽しかった。でも、今は『登る』ということを楽しめばいいわけで、低くてもいいんです、登ることができれば! だから方法を変えたりして、楽しんでやり続けてみてください。その年その年にあった楽しみ方や向き合い方でやり続けるってことが大事ですよ」

できなくなったことに対して悲観するのではなく、「やり続けられればいい」。第一線で活躍し続けている石丸さんならではの重みがありながらも、どこか心を軽くしてくれるポジティブな言葉で締めくくってくれました。

ぜひ石丸さんが出演している、『映画ドラえもん』を見に劇場へ足を運んでみてくださいね。

【作品情報】

『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』
原作:藤子・F・不二雄/監督:今井一暁/脚本:内海照子/音楽:服部隆之