息子を才能のある子に育てるためにはどうすればいいのでしょうか? 男女の脳の“とっさの使い方”の違いを発見した脳科学者の黒川伊保子さんは、「イヤイヤ期」と「質問期」に対する親の接し方が肝心だと指摘します。詳しくお聞きしました。
学究的なセンスを期待するなら「イヤイヤ期」を優しく見守ろう
すべての画像を見る(全4枚)2歳ごろになると、とうとう、子どもが「自分の意志で、この世と関係性を持ち始める」瞬間がやってきます。イヤイヤ期の突入です。
ティッシュをボックスから延々と引き出す。障子を破る。拾った石を口に入れる。醤油皿に手を突っ込んで、白いシャツに手形を押そうとする。ダメと言われれば嬉々として繰り返し、「やりなさい」には「イヤ」と反抗する。思い通りにいかない日常に拍車がかかり、母親はパニック寸前にまで追い詰められてしまいます。
しかし、自分の出力で、周囲(ものや人)からの反応が返され、新たな入力をキャッチする体験を重ねて、あらゆるセンサーを調整するのが2~4歳のころ。比較的受け身だった赤ちゃんが、能動的に(自分から積極的に行動して)、自分と周囲の関係性を構築していくときでもあるのです。
母親がやってほしくないことを繰り返すイヤイヤ期は、脳の「実験期」なのです。将来、学究的なセンスを期待するつもりなら、おおいなる地球の実験を見守りましょう。
難しい質問には「答えが見つかったら、教えてね」と返そう
4歳くらいになると、「これなに?」「なんで?」と質問攻めが始まります。実験期の後に訪れる「質問期」です。
この時期の子どもの質問には、できるだけ応えてやりたいものです。とくに、「自らしゃべること」が苦手な男性脳は、やっとの思いで紡ぎ出した質問を拒絶されたら、ショックは大きいです。答えられなくてもいいので、息子の質問にはぜひ応えてあげてください。受け止めて、疑問に共感してあげてください。
とはいえ、子どもの質問には、にわかには答えられないものが多いもの。「シマウマはなんでしましまなの?」「空はなぜ青いの?」くらいならグーグル検索でなんとかなるかもしれませんが、「人はなぜ死ぬの?」「いのちはどこから来るの?」といった質問に、なかなか一発で答えられる親はいないでしょう。
そういうとき、疎ましがらないで、どうか、その質問を喜んであげてください。「おお、素敵な質問ね。お母さんにもわからない。いつか、その答えが見つかったら、教えてね」。この話法を知っていれば、子どもの質問攻めも全然うっとうしくなりません。