壁にぶつかったら斜めにジャンプしてみる

――年齢とともに気力も体力も、人間関係にも変化が生じ、今までどおりではなくなることに怖さを感じる機会も増えきます。ただ、それを覚悟して自分で受け止めなくちゃいけないですね。

一田憲子さん
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一田:人それぞれ歩んできた道も違うから、歳のとり方や受け止め方も違うと思いますが、まっすぐ進んで答えが見つからなくなったら、その都度、いろいろ実験してやってみる。そして、そのプロセスを楽しむのもいいと思うんです。

 

――トライ&エラーの繰り返しですね。

一田:人生っていつまで経っても知らないことだらけ。その歳になって初めてわかること、見えてくることって、たくさんあるし。今まで求めてきた正解だけじゃ解決できなくなってくる。だからがんばるんじゃなくて、寝る、とか。

 

――がんばるんじゃなくて、寝る(笑)。これまで「正解」と思っていた道以外を見つけていく、ですね。

一田:今までとは違うメモリのついたものさしを持てば、これから先いくらでも違う道は見つかると思うんですよ。まっすぐ進んでいたら壁にぶつかって、頭をドンドン打ちつけても壁は破れなくて。で、試しに違う方向にポンって飛んでみたら「あれ? 案外ラクだったじゃん」みたいなこともある。そんなの斜めにジャンプする方法を見つけられたら、これから先、めっちゃハッピーになれると思うんですよね。

 

歳を重ねることに「怖さ」を感じたら、これまでの生き方とは違う世界に目を向ける方法もあるよ、と軽やかに説く一田さん。見えない未来の不安の種を数えて、心を不安でいっぱいにするのではなく、自分がこれまで「正解」だった思い込みをいったん手放し、試しに斜めの方向にエイッとジャンプ!

不安や心配はゼロにはならなくても、自分が好き・楽しいと思う方向に目を向けていけば、心も体も軽くなる。歳をとることもまんざらでもないと思えてくるのかもしれません。

 

一田さんのエッセイ『歳をとるのはこわいこと? 60歳、今までとは違うメモリのものさしを持つ』(文藝春秋刊)には、仕事、健康、家族、介護、更年期…人生後半戦でひたひたと忍び寄ってくる不安や心配ごと。そんな「怖い」を少しずつ手放し、笑顔で歳を重ねるためのヒントが詰まっています。

歳をとるのはこわいこと? 60歳、今までとは違うメモリのものさしを持つ

歳をとるのはこわいこと? 60歳、今までとは違うメモリのものさしを持つ

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