加トちゃんの病気を乗り越えてわかった優しさ
そうこうしているうちに、2014年6月、加トちゃんがパーキンソン症候群を発症。60kgあった体重は38kgまでに激減し、のどの筋肉も衰えてなにも食べられなくなり、点滴で栄養を摂るほどに。
「決まっていた舞台は全部キャンセルしました。医師からは、舞台復帰は厳しいと言われて…。加トちゃんはあまり意識がないし、絶望的な気持ちになりました。でもある日、ドリフのDVDを病室で流していたら、加トちゃんが笑ったんです。そしてこう漏らしました。『また舞台に立ちたい』と」
このとき綾菜さんは、「先生がダメって言っても私が舞台に立たせてあげるから」と茶さんと約束。同時に、「加トちゃんを絶対に死なせない」と強く心に誓ったといいます。
「今はバッシングで落ち込んでいる場合じゃない。次なる“敵”に向かって、必死に闘いました」
退院後、約1年間の通院リハビリを経て、茶さんは奇跡の復帰を遂げました。そして綾菜さんは、この大病を献身的に支えた妻として認知され、バッシングは消失。以降も、良妻として広く知られるようになりました。
ーーそれから10年。
ある日、綾菜さんが「今までの人生でなにがいちばんつらかった?」と聞くと、加トちゃんは「バッシングされて、綾ちゃんが苦しんでいるときがいちばんつらかった」と答えたそう。
「ああ、そうだったんだ。あのとき私は『自分はすごくつらいのに加トちゃんは“10年忍耐”しか言わんし普通にテレビ見て笑ってる』と憤りを感じていましたが、加トちゃんは加トちゃんで苦しんでいて、私にはそれが見えていなかったことにようやく気づいたんです。
同時に、事務所に誹謗中傷の電話が山のようにかかってきていた事実を、私に言わないでいてくれたことも知って…。加トちゃんは平静を装って私を必死に守っていてくれたことを思うと、この先は私が加トちゃんをなにがあっても守ろうと、改めて思いました」
年が明けると、結婚生活14年目に突入する加藤さん夫婦。互いに相手を守ろうとする愛情と夫婦の絆は、一段と濃くなっているようです。
そんな綾菜さんが、加トちゃんの健康のために医師と栄養士の先生とともに開発した“無理なく続けられる”減塩レシピ集『加藤家の食卓』(アスコム)が好評発売中。こちらもぜひご覧ください。