●バッシングから立ち直るまでにもらった“ふたつの言葉”

それから9年後。当時23歳の綾菜さんは45歳上の茶さんと結婚したことで、「財産目当て」とバッシングされる日々が続きます。

また、食事の好き嫌いが激しく、味の濃い揚げものなどを好む茶さんを喜ばせようと手づくりしたものをブログに載せると「加トちゃんを殺す気か」「やはり保険金目当て」と…。

「中学時代に経験した直接的な暴力に比べたら、知らない人たちからの誹謗中傷はそこまでのダメージではない。それでも、当時は世界中から嫌われている気がして、中学時代のいじめに次ぐ、つらい経験だったことには間違いありません」

傷つく綾菜さんに対し、茶さんは当初、なにも言わなかったそう。

「それどころか、私から見たら、加トちゃんはめっちゃ普通で、テレビ見て、ケタケタ笑っている。だんだん、『なんで加トちゃんは普通なのに私だけこんなにつらいんや』と、すごい苛立って卑屈になりました」

加藤綾菜さん
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そんななか、加トちゃんが唯一かけてくれた言葉が「10年忍耐」でした。

「『ひとつのことを10年やり続けたら、絶対にだれかが認めてくれる。だから、わざわざ反論しなくてもいい。誠実に生きていたらだれかが見てくれているから』――。加トちゃんはこう言うんですけど、当時の私は『10年は長いわ。耐えられん』と、受け止めることができませんでした」

そんなある日、女性芸人の久本雅美さんから、ある言葉をかけられます。

「久本さんが私の手を握ってこう言ってくれたんです。『綾菜ちゃん、自分がどう生きるか、だよ。周りにどう見られるかじゃないんだよ。あなた自身はどう生きたいの?』。そして『つらかったなー』って、抱きしめてくれた。

確かに私はいつも周りからどう見られているかばかり気にしていた。私自身はどう生きたいんだろうか。改めて考えてみました。

私は幸せになるために覚悟して加トちゃんと一緒になったのに、これじゃただの可哀想な人だ。加トちゃんだって叩かれるのを覚悟のうえで私と結婚してくれたのに。

そう気づいたとき、このまま弱くて臆病なままだと、自分に負けてしまう。強くなることが幸せへの道だと、ようやく覚醒しました。人生2回目の『強くなろう』と、心から思えた瞬間ですね。

今、『つらかったら逃げてもいい』という風潮が社会になりますが、私の場合、逃げても自分からは逃げられない。だから立ち向かおうと思ったんです