笠原:あとはこれがいちばん多いのかもしれないけど、忙しすぎて料理をするのが苦痛というパターンですね。こういう人には、声を大にして伝えたい。「便利なものを使うのは罪じゃない」と! 僕は料理を仕事にしているから、店ではだしもいちからとるし、市販品や冷凍食品を使うことはありませんが、これだけ便利なものがあるんだから、皆さんはうまく使った方がいいと思います。

たとえば、コロッケは割り切って近所のおいしいお肉屋さんで買うなり、冷凍食品を使う。でも、みそ汁だけは冷蔵庫にあるもので手づくりする。このスタンスでいいと思うんですよ。だしだって、時間がなければ顆粒だしで十分。でも時間があるときにもし気がむいたら、丁寧にだしをとってみてほしい、という本音もありますけどね。

――すべて手づくりしなきゃと思わず、買ってきたものとうまく組み合わせるといいですよね。みそ汁やサラダだけなら、なんとかつくれそうですし。

笠原将弘さん
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笠原:そう、そんなときに役立つのが、僕の著書『笠原将弘の副菜の極み158』(扶桑社刊)なんですよ。主菜は買ってきても、ちょっと小鉢をつけたり、スープを添えたりしたいというときに便利なレシピがたっぷり載っているから、ぜひ参考にしてみてください。

●毎日の献立は難しく考えすぎないで!「主役と脇役」をイメージすればOK

――最後に、みんなが悩んでいる「献立」についてお聞きします。献立って、考え始めると「あーでもない、こーでもない」と頭の中がこんがらがってきて、結局どうでもよくなっちゃう。簡単に決まる方法をぜひ教えてください。

笠原:もっとシンプルに考えるといいと思います。まず、決めやすい主菜からイメージするのが基本。お肉を焼く、魚を煮る、など大枠が決まったら、副菜や汁物でたりないものを補う。これだけです。つまり、主菜とはかぶらない食材、味、食感はなにかと考えるんです。たとえば、マーボー豆腐に冷ややっこや豆腐のみそ汁を合わせるのは、どう考えてもセンスがない、というか豆腐が多すぎる(笑)。

やっぱり、ふわふわの豆腐に合うのは、シャキッとした野菜のサラダかなとかね。ドラマだって、似たような役者は2人もいらないですよね。やっぱり存在感のある主役がいて、くせのある脇役がいてこそ、深みのあるストーリーになると思います。

――主役と脇役と考えると、わかりやすい! そこに旬の食材を入れれば、もう完璧ですね。

笠原将弘さん

笠原:でも、主菜があって副菜と汁物を添えてと、いわゆる献立のスタイルにとらわれすぎなくてもいいと思いますよ。たまにはめちゃくちゃな献立を考えるのもおもしろいですよ。たとえば、小鉢だけ20品つくっちゃうとかね。まぁ、これは極端だけど、酒飲みにとっては最高の献立ですね。

ほかには、カレーだけ5種類つくっちゃうとかね。これもカレー好きには夢のようですよね。笠原家はどちらかというと、こういうことをやりがちで、家族全員の好物を全部つくっちゃおう! とかやりますよ。焼き肉となったら、牛も豚も鶏も全部焼いちゃうとかね。

――全種類焼き肉、楽しそうですね。家庭料理はなんでもあり、ということですね。

笠原:そう、外食では絶対出てこない組み合わせも、家だと平気でやりますよね。カレー食べてるのに、おいしい干物をもらったから1枚焼こうかとか。そういうふうに、好きなように自由に食べられるのが、家庭料理のよさですよね。

 

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