●お金は「困らない程度」にあるのが理想

釣りをする人
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金欲や物欲の落とし穴は、そこに際限がないことです。昨今「大河ドラマ」を賑わせている秀吉の朝鮮侵略。欲とは、その精神的な活用なら意欲という美点にもなりえますが、物欲は人を不幸にさえします。

ブータンでは、今釣ってきた魚を生きたまま売っている人がいるそうです。買った人は、そのあと川に魚を放すのだそうです。放すために売って、放すために買うことが、徳を積むことだそうです。宗教観ばかりではない国民性のもつ恐るべき発想の転換です。ここは私の憶測ですが、ブータンの釣り人も、魚代を値上げすることはしないと思います。もし上げていれば、この伝統的な行為はもっと早くすたれていたことでしょう。

お金はないよりは、適度にあるのがいい。私は、住まいは雨露をしのぐ程度でいいし、日々食べていければいいというのが理想です。もう少し理想を言うなら、老いたとき困窮しない程度が最高です。お金が入ると、ほとんどがものに還元されてしまいます。食べ物なら脂肪が体につき、ものなら家のなかに蓄積します。だから困らない程度でいいのです。

●お金に支配されない生き方をしたい

老後のための貯蓄に励むことは意義あることですが、子孫のために財産を残すことは、必ずしも最良の事ではないように思います。多すぎる財産をめぐるトラブルは少なくないでしょう。私の父はといえば、自他ともに認める「児孫のために子に美田を残さず」タイプでした。これは、「子孫のために財産を残すと、それに頼って努力をしないので、財産を残さない」という意味です。そのため、私たち子どもたちは懸命に働きました。それでいい場合もあります。

私は低所得者ですが、お金には「困り」たくないのです。普通はお金に困るというと、生活にもっとお金が必要ということになりますが、私が言うのは、お金のことで悩みたくないという意味です。できる限りの対策を講じて、お金から解き放たれた精神生活がしたいのです。お金の事ばかり考えて、お金中心の人生を送るのは残念だと思っています。

そんなことで、私は必要最小限の暮らしを日々心がけて、お金に支配されないようにしています。

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