全国的に4月上旬並みの暖かさを記録した先週。それにともなって飛散する花粉も一気に増え、その量は3月上旬にかけてピークを迎えます。
マスクや眼鏡を着用して花粉をバリアするだけではなく、外出先から帰ったときは玄関先で上着を払う、洗濯物は外に干さないなど、“家の中に花粉を持ち込まない”工夫をしている人も多いのではないでしょうか。
ところが「じつは、家庭で行われている花粉対策の多くが、かえって症状を悪化させてしまっているのです」と話すのは、テレビにも多数出演する健康と掃除のプロ・松本忠男さん。
そこで今回は、やってしまいがちな「花粉対策のNGポイント」について、松本先生に教えてもらいました。
●NGその1「玄関先で上着についた花粉を手で払う」
まずは冒頭でも例に挙げた、玄関先でコートなどについた花粉を払う行為。
「花粉の粒子は非常に軽いため、服についたものを手で払っても下には落ちません。その場で舞い上がって顔などに再付着してしまい、かえってクシャミや鼻水を引き起こす原因に」
せっかく服についていた花粉を、手で払うことで舞い上げて吸ってしまうのでは逆効果。そこで松本先生がオススメするのが、軽く濡らしたタオルで衣服をふきとる方法です。
「帰宅したら、タオルを水吹きスプレーで濡らして、上着の表面をスタンプを押す要領でペタペタとふき取ります。そうすることで、花粉を舞い上げずに除去できるのです。このときゴシゴシこすると、傷ついた花粉の殻が破裂する恐れがあるので、できるだけ優しく、押さえるように除去してください」
また、帰宅直後に玄関全体にも水をスプレーして、玄関の空気中に浮いている花粉を床に落とし、乾いたぞうきんなどで優しくスタンプしてふき上げるのも効果的。
●NGその2「リビングや寝室で空気清浄機をかける」
花粉の季節には、長い時間をすごすリビングや寝室で空気清浄機をフル稼働させている家庭も多いはず。しかし、じつはこれも正しくありません。
「空気清浄機は、花粉が家の中に侵入する『玄関』にセットしてください。外の気温が家の中より寒い場合、花粉を含んだ冷たい空気は玄関ドアの下の方から入ってくるため、ドアの正面かドアノブ寄りの位置に向けて空気清浄機を稼働させておくのが正しい方法です」
また加湿器も、リビングや寝室で使うことは好ましくありません。水分を含んで床に落ちた花粉は、人が頻繁に歩いたりすることによって破裂し、アレルゲン物質が飛び散ってしまう恐れもあるのだとか。この時期、「空気清浄機や加湿器は玄関で」がポイントです。
●NGその3「朝起きたら、まず掃除機で床の花粉を除去」
どんなに気をつけていても、玄関や窓から入ってくる花粉は防ぎきれないもの。そこで朝、家族が起きてくる前に、床に落ちている花粉を掃除機でキレイに…。じつは、これもダメ!
「花粉の粒子は非常に軽いため、掃除機をかけた瞬間、床に落ちていたものが機械の動きや排気で空中に舞い上がってしまい、逆効果。乾いたフローリングワイパーを、往復ではなく一方向に静かに動かして、そっと除去しましょう。ウェットタイプでは花粉を含んだホコリを引きずってしまい、やはり破裂させてしまう恐れがあるためNGです」
そもそも軽い花粉はカーテンレールや棚の上、壁などの高い所にも多く付着しているため、床だけ掃除していても意味がないそう。そこで松本先生がオススメするのが、化繊ハタキをペットボトルにセットして、花粉を含んだホコリと一緒に除去する方法です。
「500mlのペットボトルの側面に切り込みを入れ、そこから100円ショップの化繊ハタキを差し込むだけ。カーテンレールや棚の上、壁などを、高い所から低い所に向かって、ホコリを舞い上げないように除去し、ハタキが汚れたらペットボトルを回してキレイな面を出すようにすると、いったん除去したホコリが再度舞い上がるのを防げます」
花粉を含んだホコリは、リビングや寝室のほか、衣服の脱ぎ着を行う脱衣所やトイレにもたくさん落ちています。それら細かい場所のホコリは、こちらも100円ショップで売っている「スクイージー」(水切りワイパー)のゴムに、約5mm間隔で切り込みを入れたものが大活躍します。
「トイレや脱衣所の床を濡れたぞうきんで拭いても、ホコリを含んだ花粉が塗り広げられるだけ。雑巾の水分が蒸発して乾燥した“ホコリ花粉”が空気中に舞い上がり、クシャミや鼻水を引き起こしてしまうでしょう。切り込みを入れたスクイージーは、ホコリ花粉の飛散を防ぎながらごっそり除去してくれるすぐれもの。トイレや脱衣所などに常備しておくと安心ですよ」
これ以外にも、松本先生による花粉対策が
『図解 健康になりたければ家の掃除を変えなさい』(扶桑社刊)に多数紹介されています。
「軽くて舞い上がる」「濡らして強くこすると破裂する」といった花粉の性質を理解して、部屋ごとに正しい対策を取りましょう!