●友人からの再びの電話に…

そして、評判を聞きつけたテレビ局が取材にやってきました。夜のニュース番組の取材です。

「ワーオ、なんてことでしょう。見てください、カニのパンがまっすぐ歩いている」

レポーターがテンション高くしゃべります。マイクを向けられた縁側ドリームさんは「明日、この家で販売しますよ」と宣言しました。

その日の夜にまた電話がかかってきました。この前も電話してきた友人からです。

「なぁ、いまニュースを見ているよ。すごいな、大人気みたいじゃないか。カニのパン、売るんだって?」

「うん、それで申し訳ないんだけど、明日は落とし穴を掘れそうにないよ」

「あぁ、そうだろうね。わかった、自分ひとりで掘ることにするよ。いいのができたら写真送るから」

縁側ドリームさんはほっとしました。これで明日は穴掘りをしなくてすみます。縁側ドリームは上機嫌で受話器を置くと、キッチンに向かいました。明日売るパンの仕込みがはじまります。

【編集部より】

縁側ドリームさん、断るためにもっとたいへんなことになっていますよね!? このためだけにこのためだけに業務用のオーブンを買わなきゃいけないのでしょうか。もうお店をはじめるのに等しくて、週末どころではなくなっています。

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