●想いを伝えないと、好意が悪意に転じる可能性も
すべての画像を見る(全2枚)ただ、想いを伝えることは、夫側もきちんと誠意をもって行うべきです。場合によっては、言葉が足りなかったがゆえに、よかれと思った発言が悪意のこもった発言だという誤解を生むことも…。
「以前、私が自宅のキッチンカウンターで手を打って痛がっていたとき、夫がそれを見て『そのキッチンカウンターって、その高さで10年前からそこにあるよね?』と言ったんですね。その言葉を聞いて、『10年前からあるものにぶつかる私が悪いって言いたいのかしら?』と、すごく腹が立ったんですが、夫に言わせたら『このキッチンカウンターは前からあるのに、いまさら手を打ってしまうということは、その脇に置いてあるワゴンの位置など、なにか配置に悪い部分があるのかもしれない』と思ったと。
男性は、そこまでキチンと言わないから決して悪気があるわけじゃない。でも、女性は発言の意図が理解できずに腹が立つわけです。きちんと言葉にしないと、伝わらないんですよ」
●60代になってから、夫のことをもう一度好きになった
現在お互いに60代だという黒川さんも、夫とはよくケンカをするのだとか。いまだに腹が立つことも多いものの、60代になってからは夫への愛情が高まっていると語ります。
「夫とは37、38年くらい一緒にいます。いまだに『なんで私の思う通りにやってくれないんだろう』と腹が立つことは、たくさんあります。一方で、『私にこれだけ責められても平気な顔をしているのは、この世の中で夫だけだろうな』という安心感もありますね。
40年近く一緒にいる蓄積があるから、私の物言いにも夫が慣れている。昔は、私がなにを言っても平気な顔をする夫にイライラしましたが、いまは一周回って、『こんなに打たれ強い人はなかなかいないはず。じつは夫ってすてきな人なんだな』と思うようになりました。夫婦って不思議ですよね(笑)」
また、長年一緒にいるからこそ、強い安心感も生まれているのだとか。
「私自身、以前はどこかで『この人、私のことまだちゃんと愛しているのかしら?』とは疑う部分があったのだと思います。でも、もう60代にもなれば、『相手にも私しかいないし、私にも相手しかいない』とわかっているから、本能的にその疑いが消え、安心できたのかもしれません」
黒川伊保子さんの書籍『60歳のトリセツ』(扶桑社刊)では、60代からの人生をもっと楽しむ秘訣を多数紹介しています。