●デジタル化に助けられているのに時間に追われるのはなぜ?

デジタル化が進んだことで、時間短縮された事柄は山ほどあります。原稿を書くことも、写真を加工することも、メッセージを伝えることも、20年前とは大きく異なります。

パソコンで作業する川上麻衣子さん
ノートパソコンをもち歩くようになった2000年頃(当時30代前半)
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当時はパソコン上で1枚の写真に文字を書き込むだけでもかなりの時間を要した記憶があります。それでも自宅で写真を加工、印刷できることは画期的でしたので、深夜まで夢中となっていました。その当時に比べたら本来であれば、1日の時間はもっと有意義に余裕をもって過ごせそうなものなのに、どういうわけか以前より日々の生活は慌ただしく忙しなく感じます。

時間短縮で生まれた時間は、もっと余暇に使われてもいいはずなのに…です。

よくよく自分の行動を振り返ってみると、ひとつの行動を起こすためにスマホやパソコンを介してしまうと、途中で寄り道してしまうことが兎にも角にも多いことに気づきました。

Aさんに写真を送信しようと、膨大にたまったデータを整理しているとBさんからのメッセージを受信。Bさんのメッセージを読んでいたら、今度は支払い請求メールが届いて確認作業。

当初の目的がなにであったかを忘れることは珍しくありません。これは本当にまずい状況だと、現在自らを戒めているわけです。

●イライラせずに日々を送れるよう“うまいこと”やっていきたい

1990年代に出版社のCMに出演させて頂いた際、CMのテーマでもあった「知りたいことはなんですか?」という質問を受けたことがあります。当時は携帯電話もまだそれほど普及していない時代でしたが、テレビやステレオがリモコンで作動することに新しい時代を感じていました。

自分の部屋にどれくらいの信号が流れているのか、怖さもあって「目で見てみたい」と答えたことをよく覚えています。

あれから30年。

何でもかんでもAIの時代。
ちょっとした問い合わせには電話をかけても、人間に辿り着までなんと時間のかかることか…。ようやく辿り着いた血の通った人間が、マニュアルどおりにしか答えてくれずまたしてもストレス…。

結果、昔の方がもっとシンプルで、物事スムーズだったわと愚痴が出てしまいます。イライライライラ…。そりゃシワも増えるわッとまたイライラ。

ゴルフ場での川上麻衣子さん
趣味のゴルフはデジタルから離れるいい機会に

だめだめ。平常心、平常心、と言い聞かせる毎日。必要なのはデジタルデトックス。1日でもよいから、情報から解放されて、緑あふれる自然の中で昭和的な時間を感じたい。

いやはや、「年を取ったもんだなぁ」と最も実感するのはこんなときなのかもしれませんね。

 

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