子どもが巣立った50代からの暮らしを考えた夫婦が、現在暮らしている都内からほど近い、海沿いの町に建てた家です。将来の移住を念頭に置きつつ、セカンドハウスとして使用。都会では味わえない静かで自然豊かな環境を満喫しています。リビングとつながるバルコニーからの眺めは絶品。まさにリゾートのような暮らしを楽しんでいます。
すべての画像を見る(全26枚)海と山の眺めをどの部屋からも楽しめる高台の家
Sさんの家 神奈川県 家族構成/夫60代 妻40代 設計/彦根建築設計事務所
2階バルコニーから海を一望できる、高台に建つSさんの家。海と反対の敷地西側には樹木が生い茂る崖が迫っており、海と山の両方の景色を堪能できる、魅力的な立地です。
Sさんがこの家について考え始めたのは、50代前半の頃。「子どもたちが巣立ったあと、東京の家をどうするか、東京に住み続けたいのか、考えるようになりました」とSさん。
その後、コロナ禍で仕事も買い物もオンラインが一般的になったことが、移住計画を後押し。東京から比較的近く、静かで海の見える土地を見つけ、将来的に移り住むことを視野に入れた家づくりがスタートしました。
設計の依頼を受けた建築家の彦根明さんは、崖崩れに備えて西側の基礎を高くし、2階だけで暮らせるようにLDKと寝室、水回りを配置。高い天井や木の梁が開放感をもたらすLDKや3面に窓がある寝室は、広いバルコニーとひと続きで、まるでリゾートホテルのようです。
今後は、広い庭を少しずつ整えていきたいと話すSさん。「草刈り機は、すでに買いました。芝生を敷き、家庭菜園もやりたい」と、自然に親しむ暮らしを楽しみ始めています。
50代からの家づくりでこだわったこと
海と山の眺望を楽しみつつ、プライバシーも確保しながらくつろげるように、窓の位置やルーバーなどで視線をコントロール。ゲストルームやシャワー室などを設けた1階は、ウォークインクローゼットから洗濯室、テラスへの動線を確保し、暮らしやすさも追求しています。
1.可動式間仕切りでくつろぎの空間を演出
リビングとDKの間には、妻の要望により可動式間仕切りを設置。来客時などは乱雑になりがちなキッチンを隠すことで、リビングをよりくつろげる空間に。夏場は、冷たい空気が1階に逃げるのを防ぐことができ、冷房効率を高める効果も。
2.リゾート感を演出する木製シーリングファン
リビングの勾配天井には、ライトつきの木製シーリングファン(アメリカ製)を採用しています。広いリビングの空気を循環させるのはもちろん、木を使ったナチュラルなインテリアにもなじみ、心地よさを演出しています。
3.視線をコントロールしつつ開放的なバルコニーに
眺めのいいバルコニーですが、下の道路から見られる心配があったので、下からの視線をカットしつつ開放感を損なわない横桟の手すりを採用。
「道路を歩いている人と目が合うことは、まずありません」とSさん。
4.窓を高めに設定し、視線を気にせず景色を楽しむ
2階LDKは、外からの視線を気にせずリラックスして過ごせるように、横長の窓を高い位置に設置しています。おかげで周囲の建物を目にすることなく、遠くに広がる海や半島の美しい風景のみを楽しむことが可能です。
5.寝室の窓際にソファを造作。縁側のような心地よいスペースに
リビングの延長のようなぜいたくな空間になった2階寝室には、竹林を望む西側の窓際にソファを造作。縁側のような心地よいスペースで、日々の疲れも癒やしてくれそうです。下部は収納として使えるのもポイントです。
6.WICから洗濯室、テラスへの動線を確保
物干しスペースとなる1階テラスに面した洗濯室にはウォークインクローゼットを隣接させ、廊下側から通り抜けられる動線を確保。
広い洗濯室は室内干しもできるようになっており、乾いた洗濯物をウォークインクローゼットにしまうのも簡単です。
7.外壁はメンテナンスフリーに
将来、この家で本格的に生活する頃には、高齢になっていることが考えられるため、メンテナンスフリーの外壁を要望したSさん。
できるだけ周囲に違和感なく溶け込む自然な表情の窯業系サイディングを採用しました。
8.手づくりを楽しむ庭
庭づくりを楽しむ予定というSさん。「子どもの頃は家の前が雑木林だったので、その記憶が残っているのかも。DIYの動画を見て、これならできそうとか、おもしろそう、と思ったり。無理せずやっていこうと思います」。