●いろんな人々の権利を認める社会って?
4月から新年度が始まる日本と異なり、アメリカの小学校のほとんどは9月に新学年を迎えます。シアトル学区も同様ですが、今年度はいつも通りに学校が始まりませんでした。ストライキが長引き、新年度早々、小学校が1週間休みとなったのです。これぞ、アメリカ。いつになったら学校が始まるのか、働く親はやきもきしながら学童やシッターを手配しなければならない状況に。日本では、ちょっと考えられないですよね。
すべての画像を見る(全6枚)ちなみに教員のストライキだけでなく、スクールバスのドライバーのストライキも頻繁に起こります。そうなると、親は送迎を自分でアレンジしなくてはならず、振り回されるばかりです。でも、子どもが教育を受ける権利も大切だけれど、ストライキをする権利もあるのだから仕方ない。皆さん慣れたもので、ストライキには寛容な様子です。
子どもが教育を受ける権利と言えば、アメリカでは、幼稚園年長が通うキンダーガーテンが小学校に組み込まれており、6年生からは3年間をミドルスクール(中学)、9年生からは4年間をハイスクール(高校)で過ごしますが、公立ならすべて無償。
受験がないので、そのための塾通いもなし。また、低所得家庭は公的補助が受けられ、子どものための給食にも学童にもお金を払う必要がありません。家庭で教育を受けられるホームスクールも一般的で、家庭の教育方針を貫きたい親や不登校の子どもの受け皿にもなっています。
そして、「ギフテッド」と言われるような、より深く勉強をしたい子向けには専用の公立学校、または専用クラスが設けられています。高いお金を出して私立に行かなくても、そこでレベルの高い授業を受けられ、いわゆる「エリート」が育つ土壌に。
飛び級も、逆に1年遅らせての入学もあり。日本のなんでもみんなと同じをよしとする「平等」ではなく、アメリカでは個々の状況に応じた教育の権利を保障する「平等」というのが、大きな違い。まさに前述の「DEI(ダイバーシティ・エクイティ・アンド・インクルージョン)」の考え方が、ここにはあります。