●人権について考える授業やアクティビティーも
2021年、アメリカの祝日として「奴隷解放記念日」である6月19日が新たに加わりました。昨今、分断が進む中で、アメリカでは負の歴史から学び取ろうとする強い意思が感じられます。
すべての画像を見る(全6枚)2020年、警察官による黒人への暴力に端を発し、アメリカ全土で巻き起こったBLM(ブラックライブズマター)運動の際には、わが子の通う小学校でも、子どもたちが動画や絵本、アートなどを通じて黒人差別問題と向き合いました。子どもたちは毎年、1月第3月曜日の「マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の日」と、2月の「黒人歴史月間」にも黒人の歴史を繰り返し学んでいます。ただ、このBLM運動によって警察の力がそがれたことで、治安がどんどん悪化している側面も。
根深い黒人差別が残る社会構造もそうですが、コロナ禍で始まったアジア人差別もまだなくなったとは言えず、アメリカの人種問題は、先祖代々、日本で育った人間にはなかなか想像が及ばない複雑さを抱えています。
最近、わが子の通うシアトルの小学校で、校庭や校舎の周りの歩道でチョークアートのプロジェクトを行いました。子どもたちはそれぞれグループに分かれ、多様性や差別、人権に関する大切なキーワードを選んで、チョークアート作品に仕上げます。
そこには、Black Lives Matter/BLM(黒人の命は大切)、Social Change(社会の変革)、No More Racism(人種差別をなくそう)、Human Rights(人権)、Movement(ムーブメント)、Culture(カルチャー)、Our Identity(わたしたちのアイデンティティー)、Empowerment(エンパワーメント)、Equity(公正)、Bias(バイアス)、Value(価値)、Freedom(自由)などと書かれ、大人もドキッとさせられます。日本人からすると、ちょっとビックリしますが、シアトルは人権運動が盛んな土地柄だということも背景にあるのかもしれません。
日本では「道徳」の授業があったのを思い出します。清く正しく、みんな同じがいいね、という「日本人として」のルール。もちろん、そうしたマナーや秩序で成り立っている現在の日本の社会もすばらしいですが、これから多様化教育を受ける令和生まれの子どもたちは、どんな新しい社会を築いていけるでしょうか。
教育に違いはあれ、子どもたちが、多様化に寛容な未来について自ら考えられる力を身につけられたらいいですね。