●ごはんの時間をしっかり確保することで暮らしにメリハリがつく
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小皿や中皿を贅沢に使い、一品ずつ盛りつけます。ときどき、ワンプレートの盛りつけをすることも。この料理はどの器に盛ろうかなと考える時間が、また楽しい。
それから、箸には箸置き、湯のみやコップにはコースターも必ずセットします。コースターは手づくりです。すべてをトレーに並べると、「さあ、ごはんを食べよう」という気持ちになります。
手を合わせて、「いただきます」と言ってから食べ始めます。調理は手抜きですが、ここは毎回手を抜きません。ひとりの食事も豊かな時間になるからです。
「ひとりなのに、わざわざ面倒では?」と聞かれることがありますが、ひとり分なので、器の数が少ないから並べるのに時間はかからないし、洗い物もすぐ終わります。ごはんの時間をしっかり確保することで1日のメリハリになり、「昼ごはんの後は、読書をしよう」などと次の行動に移るきっかけになっています。
器好きなので、以前はたくさん持っていました。でも、数年前に生前整理をしようと思い立ち、娘と長男のお嫁さんに譲りました。ほとんど使っていない器はもったいないなと思っていたので、引き取ってもらって助かりました。結婚式の引き出物などは、高齢者コミュニティのバザーで売ったりもしました。
今、手元にある器は、いちばんのお気に入りです。数を減らしたことにより、使いたい器をサッと取り出せるようになりました。出し入れがラクになったのも、テーブルセッティングが面倒でない理由です。「あの器はとっておけばよかった」という後悔はないので、思いきって減らしてよかったです。
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