●料理家がつくる「普通」のお弁当って?
すべての画像を見る(全3枚)――どんな“普通の”おかずが登場していたのですか?
飛田 「ニンジン」のおかずの登場回数は、ダントツで多かったですね。栄養価も高いし、彩りにもいいですし、毎日なにかしらに使っていましたね。なかでも、せん切りにしたニンジンに塩をしてしんなり、またはくったりしたところに、粉山椒とゴマ油をかけた山椒ニンジンは、娘のお気に入りでした。これだけでごはん食べられるし、なんなら毎日入れてもいいって。また、ひき肉を使ったおかずは時間がたってもかたく、脂っぽくならないので、これもよく登場していました。肉だんごやハンバーグが多かったかな。
――朝、ひき肉の状態から完成させるのって、大変じゃないですか?
飛田 いつもは「常備菜」として準備しておきましたね。朝にイチからつくるのは大変なので、前の日の夕食づくりの際に多めに仕込んでおくことを日ごろから心がけています。そうは言ってもね、「あらら、なにもない」っていう日もあるから、朝につくる日もあるんですけれど、その場合はもちろん多めにつくって、翌日、翌々日にも食べられるようにします。お弁当のためだけに2個3個だけつくるっていうのはなかったですね。
●16年つくり続けたお弁当。終わってみればあっという間
――ちなみに、朝食と当日のお弁当のおかずがかぶってしまうこともありますか? バレないように、そう思わせないようにするコツはありますか?
飛田 かぶっている日も多かったですよ。ただ、前の日の夜から、朝食、お弁当と3回続けて、っていうのはなかったかもしれません。2回までならセーフというか…そんなに文句を言われたことはないですね。でも、そこまで気にする必要はあるのかしら。私は母の「まっ茶色」のお弁当で育ってきたこともあって、毎日“すごい”お弁当をつくる必要はないと思っているんです。長い休みが明けて、またお弁当づくりが始まったときはバタバタしたり…。たぶんみなさんと同じです。その繰り返しで気づいたら16年経っていて、こうしてお弁当づくりから卒業しましたが、終わってみればあっというまだったような気がしていますね。
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