リノベーションでこだわったこと
伝統的な和の空間に最新のロードバイク。一見不釣り合いな組み合わせなのに不思議な調和が感じられます。
1.日本家屋の持つ美しいディテールを残す
すべての画像を見る(全29枚)「広縁の窓の上に伸びる太い梁や木の建具は絶対に残そうと思いました」と口をそろえるAさん夫妻。
書院造りの床の間は、付書院(つけしょいん)に書院欄間、違い棚には筆返しも備わった本格派。
これらの精緻な細工を見るだけでも心躍ります。
2.日本庭園と富士山が望めるダイニング
改修前にはリビングと和室の間には間仕切りがあって、南側の和室との連続性がありませんでした。そこで、間仕切りを撤去して、ダイニングからも庭が望めるようになりました。また、西の窓からは富士山も見えます。
3.共通の趣味であるロードバイクを室内で楽しむ
夫妻の共通の趣味はロードバイク。日曜日はトレーニングがてら山にサイクリングというのがルーティン。
天候が悪いときには屋内でトレーニングできるように、和室とダイニングの奥にトレーニング環境を整備しています。
4.リモートワークを支える書斎は別々に
夫の書斎は1階の西側、妻の書斎は2階の和室に設けられています。
リモートワークが多く、ネット回線を使った会議が随時行われるため、書斎は生活音を遮断できる環境に。「窓から富士山が見える最高の環境です」と妻。
5.移設したキッチンは夫の領域
調理の担当は夫。キッチンも夫の要望を採り入れてつくられています。ワークトップの高さは90cm。
カウンターは調理の作業台兼軽食の場です。
6.暮らしやすさのための減築
リフォームずみだった広いリビングは、採光と使い勝手を考えて減築しています。こちらは減築前の写真。
「永峰さんのプランでいちばん気に入ったのはこの部分。家具を置くにも間延びした空間が整理されて、明るく使いやすくなりました」(妻)。
7.アプローチに広がるのは日本庭園!
「庭いじりもここに住んでから覚えた楽しみのひとつです」(夫)。枝ぶりの管理など難しそうにも見えますが、YouTubeなどの動画サイトを参考にして全部自分でやっているのだそう。
間取り図(リノベーション前後)と外観
●間取り図
リノベーション前
リノベーション後
●外観
昭和期の日本家屋の様式が守られている外観。門かぶりの松のある古風な門をくぐって敷地に入ると、手入れの行き届いた左右の築山に沿って、踏み石のアプローチが玄関に伸びています。
玄関も日本家屋の様式がそのまま残されています。式台の名残のような2段構えの上がり框。土間部分の石貼りも格式を感じさせます。
いちばんのお気に入りは、新旧の空間のつながり
南側の和室の続き間と北側のキッチンとダイニング。ここだけを見ると、リノベーションによって図らずも日本家屋独特の田の字プランのようになっています。
リノベーション前は8畳の続き間。「今の生活では使い道がないのと、トレーニングの場が欲しかったのでひと間を板張りにしました」(夫)。
こちらもリノベ前の写真。ダイニングキッチンはリフォームずみでしたが、和室とのつながりがないため改修。「夫にはワークトップの高さが足りなかったので改修は必要でした」(妻)
洗面はメーカーの既製品が設置されていたのを撤去し、実験室のシンクを用いたシンプルな造作に変更。正面の鏡は既存のサッシを使って左右にスライドする構造です。
リフォーム部分でそのまま生かしているのは、玄関から勝手口へ伸びる動線。バックヤードとして食品のストック場としても使っています。
間取りは南側から北側に向かってよりプライベートな空間となります。寝室があるのはキッチンの裏手。クローゼットを兼ねる納戸が併設されています。