SDGsも決して完璧な理想の姿ではない

下川町発祥のアイスキャンドル
下川町発祥のアイスキャンドル。マイナス30℃以下のしばれ(寒さ)をまちおこしの起爆剤にする発想&行動力はまさに「しもかわイズム」
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たかまつ:清水さんはどうして下川町に移住を決められたんですか?

清水:大学院で「自治体とSDGs」を研究テーマにしていて、半年間、下川町でインターンをさせてもらいました。普及活動などをしていたのですが、町の子どもたちが「SDGsのお姉さん!」って呼んでくれるようになって(笑)、それだけ好きにやらせてくれたのもあり、感動しまして。

たかまつ:すごいですね(笑)。

清水:それと、インターンを終えて東京に戻ってから久しぶりに町を訪れたとき、みんなが「おかえり」って言ってくれて。私の居場所がここにあって、生まれた土地以上に「地元」だなと。

たかまつ:そんなふうに声をかけられたら、住みたくなっちゃいます。

清水:それが精神的な理由で、加えてアカデミックな野望もありました。これほど小規模で国連・世界との距離がこんなに近い自治体はほぼありません。研究対象として興味深いですし、ローカルとグローバルを対象に研究できる。それも移住を決意した一因です。

たかまつ:清水さんご自身はSDGsをどう捉えていますか?

清水:私の中ではSDGsは「かっこつけの当たり前」。採択されて8年以上経ち、ようやく「当たり前」が意識され、地球や自分たちのために行動することが「かっこいい」と思いやすくなった、それが今なのだと思います。ただ、SDGsって現時点では「あるべき姿」に見えているかもしれませんが、決して、完璧な理想の姿ではないんですよね。
たとえば、LGBTQや核兵器に対する記述は一切ありません。2030年以降は新たな目標も必要になってくるはずです。目指す「その先」をそろそろ念頭に入れる必要があるとも思っています。

たかまつ:流行で終わらせることなく、自分たちの町、自分たちの未来をどうしたいのか。当事者意識を持って考える必要がありますよね。「こういう未来がいい!」という思いから逆算することが、やっぱり大事だと思います。最後に、下川町の取り組みから、他の自治体が参考にできることがあればぜひ。

清水:下川町のやり方が決して「最適解」ではないと思うんです。下川町の規模だったからこそできた「下川版SDGs」ですし。ただ、大切なのは最初から壮大なことをしようと思わず、「こうなったら町が盛り上がるかも!」といったことを大切に、小さく生んでいくことではないでしょうか。

●教えてくれた人:清水 瞳さん
下川町役場政策推進課 SDGs推進戦略室。慶應義塾大学在学中に下川町役場で長期インターンシップを経験。2021年4月、下川町役場へ就職。若者のSDGs推進を支援する団体「SDGs-SWY」共同代表

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