●がんばりすぎてうつ病を発症した過去も

子育て女性
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さかのぼれば、娘が生まれて1年と少したったころ、私はうつ病になりました。うつの治療をしながらこれまでと同じ暮らしを維持していたのでどんどん悪化し、その後、長期入院を繰り返すことに。こうなったのは、障害のある息子もそうでない娘も、ほかのお子さんと同じように育てたいと無理をしたからです。スマホもない時代、子育ては障害のあるなしにかかわらず手探りで必死でした。

いっぽうで私は、自分の時間もないと苦しかった。3歳になっても夜中に起き出す息子につき合いつつ、やっと眠ったら録画しておいた海外ドラマを観たり、かわいいワンピースを娘につくったり。夫からは「少しでも寝たら?」と言われましたが、私は聞きませんでした。子育ても自分のことも、あれもこれもと欲張ったのです。

退院してからも、うつとの闘いは10年以上にも及びました。どれほど家族に負担をかけたでしょう。おかげさまで少しずつ回復し、断薬もできましたが、無茶をしていたんだなあと反省しました。娘はずっとこの姿を見てきたから、あのような手紙をくれたのかもしれません。

手紙をもらったとき、これからはもっと気をラクにもって子育てしていこうと誓ったはずなのに、すっかり忘れていました。私は年をとり、娘はとうに大人になっているのに、「母親として子どもを守りたい、助けたい」とまたがんばりすぎたようです。

●家族のためにもがんばらないと決めた

私と同じようにバブル時代に就職し、結婚した人は、よい母でありたいという気持ちがあるいっぽうで、自分の時間も欲しいと願う人が多かったのではないでしょうか。私のように、どちらもとがんばって苦しくなり、自分を見失ってしまう人もいらしたかもしれません。

年齢を重ねていくこれからは、「子どものために」という気持ちはあっても、身体が追いついてこないことが増えてくると思います。私の場合は、自分のキャパシティを知らず、欲張りすぎたのかもしれません。でも、無理をすれば、いずれどこかで反動がきます。自分のことを守りつつ、力を加減して子どもと関わっていく。そのほうが、細く長くいい関係でいられると思います。

私はもうがんばらないことにしました。心を軽くして前を向き、明るい気持ちで、母としてだけでなく、ひとりの女性として生きていきたいです。きっと娘も、そのほうが安心するでしょう。

 

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