54歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した小2の長男・うーちゃん、同じく里子から養子になった5歳の長女・ぽん子ちゃんという家族5人で暮らしています。今回は、うーちゃんがお友達を骨折させてしまったお話です。

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うーちゃんが友達にケガをさせてしまった!<古泉智浩の養子縁組やってみた108>

親として過ごしているならいつか起こるだろうと思っていたことが起こりました。小2のうーちゃんが、お昼休みにサッカーをしていてお友達と強く接触、腕の骨を骨折させてしまったのです。とうとう来たかと思いました。

 

●まさかの連絡に、古泉さん急ぐ!

その日の夕方スマホに見慣れぬ着信番号があったことに後から気づいてかけ直そうか迷っていたところ、ママから着信があり、小学校からその旨の連絡があったと知りました。

のし袋やお菓子を用意する僕
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慌てて仕事をきり上げて、お菓子屋さんでロールケーキ2本づめの贈答用を買って帰宅し、おばあちゃんにのし袋をもらおうとしたら見当たらないとのことでまたのし袋を買いに行きました。
中身は少ないと怒られるかもしれないし、逆に多すぎて引かれても困ります。
おばあちゃんに相談し、結局5千円を包みました。

 

●隠れてしまったうーちゃん

うーちゃんはお友達の家を知っているだろうとのことだったので道案内をしてもらうことにしましたが、いくらうーちゃんを呼んでも出てきません。おばあちゃんの部屋に閉じこもって布団を被って隠れています。

布団に隠れるうーちゃん

「お友達にケガをさせたことは事故だから怒らないけど、そういう態度は怒るよ!」
気まずいだろうとは思いますが、問題から目を背けるのは駄目です。きちんとごめんねと言ってお詫びのお菓子とお見舞いを渡す現場に立ち会ってもらわなければなりません。そんな風に隠れてやりすごしたいのはこっちだよ、などと腹が立ちました。

実際気まずそうな顔でゆっくりと布団から出てきました。お詫びはみんなで行った方が誠意が伝わると思ってママ、うーちゃん、僕でクルマに乗ろうとしていると
「ぽんこちゃんもいくー」
5歳の妹のぽん子ちゃんが一緒に行きたがりました。遊びじゃないんだからダメだよと言っても、言い出したら聞きません。
お友達の親御さんが怒っていた場合、幼子がいると若干なごむかも…と思い直し、連れて行くことにしました。

 

●友達のケガが心配。謝りに伺うと…

でも怒られるとかは関係なく、なによりまず、お友達がケガの具合が心配です。ケガでつらそうにしていたら申し訳ないなんてものではありません。
骨折したのが右手だったら当分、生活に困難が伴います。左手ならいいってものでもありませんが、右手が利き手なら、食事にしろ勉強にしろよく使います。それで勉強に遅れが生じるなどしたら本当に申し訳ありません。軽くあってほしいし、早く治ってほしい。

僕自身、小学校4年生の時に廊下を走っていたら5年生の男の子に足を引っかけられて転んで右腕を骨折したことがあります。
今にして思うとなんでそんないたずらをしたのか、やばいやつじゃんと思いますが、当時その子のお父さんがうちに果物のカゴ盛を持ってお詫びに来たのを覚えています。僕は右腕をギブスで固めてそんな様子を見ていました。あのときのお父さんが今の僕、つらい。

うーちゃんの道案内でクルマは住宅街を縫うように進みます。もう夜なのに、うーちゃんの道案内は正確でけっこう複雑な道なのに迷わず到着しました。クルマを空地の前に停めて、みんなでお友達の家に向かいました。深く息を吸って吐いて呼び鈴を鳴らします。すぐに返事がありました。

ドアが強く当たるぽん子

「夜分に恐れ入ります。古泉と申します。本日は〇〇くんにおケガを負わせてしまい、本当に申し訳ございません」
お友達のママさんがドアをあけてくれました。勢いよく扉が開いて、後ろに立っていたぽん子ちゃんに当たりました。ああ……。