●好きなものがあること自体がギフト
――大人になって『ドラえもん』を見ると、また見方も変わると思うんですけど、のび太くんの親だとしたらどういうふうに育てたい、と思われますか。
すべての画像を見る(全9枚)藤本:うちの息子がのび太くんみたいな子なんですよ。さすがに0点はとってこないですけど、別に勉強も運動も好きなわけじゃないんです。だから親としては悩むよね、と思います。自分の子どもにとっていいようにしてあげたいと思うから、のび太くんのお母さんもこんな気持ちなのかな、と思ったり。
山里:僕はいろんな方の話を聞いていると、好きなものを見つけて楽しくしている人たちがいかに人生を楽しんでいるか、と思うんですよね。のび太もあやとりがうまかったりするので、好きなものを見つけるほうに必死になりますかね。好きなものがあったら、好きなものを極めるために必要な勉強が見えてきて、勉強をしよう、となると思うので。
藤本:そうですね。好きなものもなかなか見つからないですよね。これはもう人生のテーマだな、と思います。
山里:好きなものがあること自体、相当なギフトだっていうのは思いますけどね。だからなにか好きなものがある時点で、もっと自分を評価していいと思う。それだけすごいことなんですよ。
藤本:親だと、「そればっかりやって!」と思いがちですけど、その好きなものを見つけることが本当に難しいんだな、と思いますよね。
●ユートピアは行きたくない。その理由は?
――今回の舞台はユートピアです。おふたりは行ってみたいと思われますか?
藤本:私は思わないですね。波がなくて楽しくなさそう、というか。基本、反骨心で生きてるんで。
山里:ははは!
藤本:なにかを乗り越えることをエネルギーにしているので。ユートピアだと乗り越えるものがないですもん。みんな優しすぎて。
山里:僕は、燃料の8割を占めているのが妬み嫉み恨みで来たので。
藤本:(笑)。人ってそういうものですよね!
山里:そういうものをずっとエンジンに流し込み続けていたので、多分動けなくなっちゃう。だからユートピアは怖いですよ。毎日遊んでいたいとかはあるかもしれないですけど。ヒロミさんも10年ぐらい休んでたら遊び飽きたって言ってました。
藤本:確かに今やらなくても、明日もできるし明後日もできるし、となったらそうなりますよね。
山里:それっていちばん、不幸じゃないですか?
藤本:確かに。楽しいはずの遊びが楽しくないっていうことですもんね。
山里:そうなんですよ。世の中、うまくできているんですよね。
――ちなみに「ユートピア」ということで、最近幸せだな、と感じたことはありますか?
山里:この前、宝塚を観劇しまして。
藤本:あ! 今、ハマッてるんですもんね。
山里:幸せでしたね~。何回か目が合ってるんですよね~。扉の中に入った瞬間に特別な空間にいるってわからせてくれるのが本当にたまらないですね。自分の中にそんな人格があったのか、というような人格が出てきて、気づけば目の前で手を組んで観てるっていう。これは本当に不思議な体験なので、食わず嫌いの人にはぜひ行ってみてほしいです。
藤本:私は身近で言うと、お正月に久しぶりに海外旅行に行けたことですね。あと日常で言うと、子どもたちの寝顔を見ることですね。喋らない、文句も言わない。
山里:かわいいだけの存在!
藤本:無事に今日が終わったという寝顔を見て「かわいいな! 寝顔は赤ちゃんのときと一緒だな!」って言っているときが幸せです。