「親として子どものために教育費を準備してあげたい」と思うのが親心。でも、子どもの教育費がいくらかかるのかわからない、どんな方法で貯めればいいのかわからない…という家庭は多いはず。また、どのぐらい学費がかかるのかを知ったうえで家族計画を立てたい方もいるでしょう。

ここでは自身も2児の母であるファイナンシャルプランナー・岡ゆみさんに、知っておきたい教育費の必要額、支援制度、効率的な貯め方を教わりました。

 

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教育費は減らせる!?支援制度と注意点

全国のパパさんママさんから「教育費いくら貯めたらいいですか?」このようなご質問をたくさんいただきます。文部科学省が全国の子育て世帯に調査した「令和3年度子供の学習費調査の結果について」を図にまとめました。お気づきかもしれませんが、子ども1人あたりにかかっている学費の費用は、進路によって大幅に異なります。

小学校~高校までの教育費

たとえば、小学校から高校まで公立の学校に進学した場合は合計で約530万円 、さらに公立の大学に進学した場合は合計約770万円、小学校から大学まですべて私立(文系)の学校へ進学した場合は合計すると約2160万円になります。

この合計額は塾代などにかかる費用も含めて計算していますので、もし塾に行かれない場合はこの合計額より実際はかからないご家庭もあります。

つまり、教育費を準備していくうえでは「わが子の場合はいくらかかる?」という視点で備えていくことがとても大切です。

 

●教育費負担を減らす支援制度と申請スケジュール

ただし、「うちは余裕がないから公立にしか行かせられない」「大学には行かせられない」と思うのは早計です。
令和2年4月から私立高等学校授業料の実質無償化が始まりました。年収目安が約910万円未満の世帯の生徒に対して授業料に充てる費用として年間11万8800円、私立高校の場合は世帯年収が590万円までの家庭に対して年間39万6000円支給される制度が運用されています。

支援制度

対象となるかどうかは保護者の住民税の課税標準額によって判定されるので、共働き世帯の場合でお子さんがお二人いらっしゃるご家庭の場合、世帯年収が1000万円を超えていても制度の対象となる場合もあります。お住まいの都道府県から上乗せの支援がある場合もありますので、対象のご家庭においては高等学校の教育費の負担が減ります。

さらに、住民税非課税世帯・準ずる世帯の学生に対して大学や専門学校の費用の授業料・入学金の免除や減額、返さなくていい(返還不要)給付型奨学金が支給される高等教育の修学支援制度も始まっています。

 

●自宅から通うのか、一人暮らしか、でも異なる

支援を受けられる金額は、世帯の収入や進学先の学校の種類(大学か短期大学か高等専門学校、専門学校か)、自宅から通うのか、一人暮らしか、などによって異なります。
たとえば住民税非課税世帯の方で、私立大学に進学した場合には入学金と授業料と合わせて1年目は96万円の減額もしくは免除が受けられ、それに加えて返済がいらない給付型奨学金が自宅外通学の場合は年間約91万円(月7万5800円)、自宅からの通学でも年間約46万円(月3万8300円)もらうことができます。

高校の授業料の支援制度、大学や専門学校の教育費の支援制度、どちらの制度も対象となるかどうか、支援の上限金額もご家庭の住民税の課税標準額によって判断されます。まず、わが家が対象となるかどうかを確認してみてくださいね。

また、支援制度の対象とならない家庭においては、冒頭の図の教育費よりも実際の負担が増える可能性があります。それを踏まえての教育費準備、もしくは節税の対策が必要となるので、いずれにしても早めに確認されておくことをおすすめします。

 

●支援制度の申し込みは「4月」と覚えよう

高等学校等就学支援金制度は高等学校入学時の4月など、必要な時期に学校から案内があるので対象の方は忘れずに申請の手続をしましょう。 申請月から支給開始となるので、遅れないようにしてくださいね。

また、大学・専門学校の教育費負担を軽減する高等教育の修学支援新制度の申し込みを希望する場合は、高校3年生の4月下旬に高校などを通じて申し込みすることができ、採用候補者として決定の通知がきた方は、翌年の入学の4月から支援が開始されます。授業料や入学金の減額、または免除は入学時に手続きします。

大学等入学後に申し込みすることも可能ですが、入学後の4月に申し込みをした場合は授業料や入学金の減額や免除は前期分から支援され、返済不要の給付型奨学金は4月分から支給されますが、銀行口座への振込は7月からになります。