●本当は違う整備がしたかった!?

整備士として約20年のキャリアをもつ武藤さんですが、じつはもともと飛行機ではなく、“クルマ”の整備に憧れていたそうです。

武藤さん
すべての画像を見る(全9枚)

「小さい頃から整備士になりたいと思っていましたが、地元・山梨には空港がなかったので、飛行機の整備というのは縁もイメージもなくて…。でも就職活動のときに、同じ研究室の同級生がパイロットを受験すると聞いて、そこで“飛行機”という選択肢もあると知ったんです。いろいろ悩みましたが、最後の最後で航空会社の整備部門を受験しました」

整備士というと、なんとなく男性が多く働いているイメージがありますよね。実際に比率的には男性が多いそうですが、武藤さんは男性のなかで働くことに抵抗を感じていなかったそうです。

「私は理系のクラスだったこともあって、高校も大学も男性比率が圧倒的に高く、そこまで気にならなかったですね。それよりも、整備部門には航空関係の専門学校を卒業した人と、理系の学部を卒業した人と2パターン居て、同時期の入社でも体感でわかるくらい専門的な知識の差があったことの方が不安でした」

●先輩の一言で考え方が変わった

入社のタイミングでは飛行機の専門的な知識はゼロ。スタートこそ同期内での大きな差に不安になることもありましたが、3~6か月の教育を経て知識や技術を習得。無事に現場配属となり、整備士としての道を歩むことになります。当時を振り返ると「とにかく無我夢中だった」と、武藤さん。

整備中

「もちろん力が必要な場面は0じゃないし、背が高い方が届きやすいみたいなこともあって…。でも、先輩に『なによりも、道具をいかにうまく使うかを考えろ』と言われたことで、考え方が変わりました。たとえば、ねじを緩めるにしても、レンチの長さが違うと力の加減も変わってくる。だから工夫して、『結果的に同じことができる』というのが大事だとわかったんです。

今は女性の整備士も増えましたが、当時は長く現場にいる女性の先輩がいなかったので、自分がどういうキャリアを積んでいくのか本当に手探りでした。でも私も経験を積み、今では相談にのることもできますし、『こういう働き方があるよ』って、参考になるのではないかなって思います」