たとえコンパクトな家でも、リビングダイニングは広く!

和室
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床面積をコンパクトに抑える際に、リビング・ダイニングといった生活のメインの空間を狭くしてしまうと「本当に狭い家」という感じになってしまうことも。家族が集うメインの空間には、それなりのゆとりと開放感をもたせたいものです。

代わりに寝室、子ども部屋といった個室をコンパクトなサイズに抑えるのがオススメ。寝室はベッドスタイルもよいですが、畳床に布団を敷くスタイルが、省スペースで多用途(洗濯物をたたむ、子どもを遊ばせたり寝かせたりなど)に使えて便利。コンパクトな家づくりに向いています。

 

壁面のウォークインクローゼット

衣類収納としてはWIC(ウォークインクローゼット)も人気ですが、スペース的には、寝室の壁面にクローゼットを設える方が面積効率がよくなります。

 

子ども部屋

子ども部屋も、持ち物保管と寝るためのスペースを最小限確保することに割りきってしまいましょう。それなら、1人あたり3、4畳のスペースで計画することも可能に。

実際、子どもの過ごし方として「遊び・勉強・団らんなど大部分の時間を過ごすのは、家族がいるリビング・ダイニングで」というケースが多いからです。

子ども部屋のしつらえとしては、2段ベッド・ロフトベッドなど、スペースを立体的に活用できる家具を配するのも効果的です。

 

玄関ホールも「兼用」の間取りで有効利用

小さな玄関

玄関は土間だけとし、ホールはリビングと兼用するという間取りも有効です。いわば、間取りのシンプル化。

たとえば、上り框(かまち)の先はスリッパが並べられる程度の最低限のスペースだけとし、引戸をあければ玄関とリビングとがつながる間取りとしておきます。そうすれば、玄関ホールのスペースが省略でき、コンパクトな間取りとなります。

 

内外一体の間取りにして、広がりをもたせる

庭と一体になったリビング

内部空間の床面積がコンパクトでも、外部空間とうまくつなげることで開放感が生まれ、広く感じさせることが可能です。

たとえば、道路や隣家が近い密集地。塀や植栽で効果的にプライバシーを確保した庭(外部空間)をつくり、それと連続したリビング・ダイニングの間取りにすれば、視線を気にせず開放的に過ごせる空間ができます。

このお宅では、板塀で囲われた庭のスペースまでがLDKと一体のスペースであるかのようにデザインしてあります。実際の床面積以上の広がりを感じる住まいとなりました。

 

バルコニーと一体になったリビング

2階リビングの間取りであれば、バルコニーと内部空間との一体感も効果的です。

このお宅では、リビングの畳床とバルコニーの木デッキ床の高さをほぼフラットにそろえ、内外一体に感じられる空間としました。室内にいても、バルコニーとその先に広がる庭や空までの広がりを感じることができます。コンパクトな家であることを感じさせない、開放感のある住まいとなりました。

 

コンパクトな家づくりのために、発想と持ち物を変える

外部空間を取り込んだキッチンダイニング

コンパクトで快適な家を実現するための設計の工夫について見てきました。どのアイデアも、決して奇抜でなく、シンプルでオーソドックス。採用が難しい…というたぐいのものではありません。

ポイントをまとめると、設計段階でいかに「暮らしをイメージし」「持ち物を見直し」「兼用の発想で柔軟に間取りを考える」ことができるかが重要ということになります。

住まい手と設計者とがお互いに信頼できる関係を築き、家と暮らしについてしっかりと対話を積み重ねていく…そんなプロセスを大切にして、ぜひコンパクトで快適な家を実現していただきたいと思います。

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