猫好きの人たちを中心に、野生の猫と触れ合える島が、旅先として人気を集めています。
そんな「猫の島」のなかでも、まだまだ穴場という、瀬戸内海に浮かぶ真鍋島(岡山県)を、ESSE編集部が訪ねてみました。
穏やかな時間が流れる猫の島・真鍋島。ぼんやりするのにぴったり
真鍋島は、のどかな漁村のたたずまいを残している、人口188人(平成30年調べ)の小さな島。
アクセスは、JR笠岡駅近くの住吉港から定期旅客船(高速船)で45分。ちなみに笠岡駅までは、JR倉敷駅からだと25分、JR岡山駅からだと40分ほど。
定期旅客船から降り立った瞬間、さっそく足元にわらわらと猫が寄ってきます!
手厚い歓迎に感激。いきなりカメラのシャッターを押す手が止まりません。
愛らしい子猫もいれば、貫禄たっぷりの大人の猫も。
個性豊かな猫たちに、目も心も奪われました。
おもな観光地は徒歩で回ることができます。
細い道や坂が多く、旅情を誘います。
雰囲気たっぷりの木造の建物。
いたるところで猫と目が合うのもうれしい。
ところどころに、廃墟となった民家も。独特の静かな空気が漂います(危ないので近寄らないでください)。
●映画『瀬戸内少年野球団』のロケ地にもなった真鍋中学校
高台にある、真鍋中学校にたどり着きました。昭和24年に建設された木造校舎は、映画『瀬戸内少年野球団』のロケ地としても使われたそう。
近くには、二宮金次郎像も!
この校舎は、なんと今でも現役。中に入って見学することもできます。
まさに映画の世界に迷い込んだよう。古いけれど清潔で、とてもすてきな校舎です。
見学の際は、教職員の方に声をかけてください。現在でも使われている校舎のため、授業や行事の際は静かに見学しましょう。
●定期船の汽笛を時計代わりに。静かに流れる島時間
次に伺ったのは、真言宗のお寺、圓福寺。795年の弘法大師による開創以来、再建と修復を行いながら大切に守られてきた由緒正しいお寺です。
真鍋島には、「四国八十八ヶ所」を模した88の番所があるのですが、こちらのお堂の中には、その番所の砂が集められています。ここにお参りすれば、88か所分お参りできたことになるそうです。
かつてこのあたりは鬼瓦が有名だったそうで、お寺の裏手には、いかめしい顔つきの鬼瓦がたくさん並んでいました。
お寺からは、真鍋島の町並みを望むこともできます。
来た道を戻っていると、港から定期船の汽笛の音が聞こえてきました。島の人たちは、この音を時計代わりにしているとか。
●芸能人もおしのびで通う、漁師料理のお店
漁師の島だけあり、新鮮な魚介料理も真鍋島の魅力。
メニューはコース(予約制・5000円)のみという「漁師料理 漁火(りょうか)」は、生きたエビの踊り食いや、焼きワタリガニなど、そのときどきでいちばんおいしい魚介を食べさせてくれるお店です。
お店の前のいけすには、とれたての魚介が!
『瀬戸内少年野球団』の撮影関係者が滞在時によく利用したことから、今でも食事をするためだけに、遠方からわざわざ訪れるお客さんも多いそう。「芸能人がおしのびで来ることもありますよ」と、島の人が教えてくれました。
なんとも穏やかで、静かな時間が流れている真鍋島。猫だけでなく、なにげない風景も、つい写真を撮りたくなる魅力にあふれていました。
日帰りのお客さんが多いそうですが、ゲストハウスに泊まって、ただゆっくり「なにもしない1日」を楽しむのもよさそう。
また真鍋島がある「笠岡諸島」には、ほかにも個性豊かな島がたくさん。あわせて訪れる旅も趣深いものになりそうです。
<撮影・取材・文/ESSE編集部>