●子どもや女性の加害者、男の子の被害者もいる

――悲しい被害は起こってほしくないですが、万一のとき、大人が気づいてケアや対処をしてあげるだけでも、状況は変わってきそうです。

ゆっぺ:子どもの性被害というと、大人の男性から女児への加害というイメージをおもちの方が多いと思います。でも、それだけでないんですよね。子どもや女性の加害者、男の子の被害者もいるんです。

子どもだから、女子だから、男子だからと、先入観だけで「大丈夫」「心配ない」と思わずに、子どもの異変に気づいたら、とにかく耳を傾けてあげてることが大事なのではないでしょうか。

●性被害について「誰にも知られたくない」と隠していた

漫画の一部
すべての画像を見る(全8枚)

――保育園のお昼寝中に、同級生に下着の中に手を入れられたとき、5歳のゆっぺさんはどのようなお気持ちだったのでしょうか。

ゆっぺ:当時はまだ幼く、性被害という言葉はわからなかったのですが、今まで受けていたいじめとは明らかに違うと感じました。当時は「恥ずかしい」「誰にも知られたくない」という気持ちが大きくありました。

――本書によると、当時はご両親にも相談できなかったんですよね。

ゆっぺ:私の家は父親がとても厳しかったので、このことを親に話したら逆に叱られてしまうと思ったんです。当時は「怒られるから隠さなきゃいけない」という気持ちの方が強くて、必死に親にバレないようにしていました。

でも、ボス太郎くんの加害内容がどんどんエスカレートしていったので、耐えきれなくなって保育園の先生に相談したんです。

――先生の対応はどうでしたか?

ゆっぺ:先生に話しかけたタイミングが悪すぎました。先生の機嫌が悪かったこともあって雰囲気に萎縮してしまい、うまく伝えることができませんでした。それで結局「男の子は、好きな女の子にいたずらするもの」という言葉で片づけられてしまったんです。

編集部注:ゆっぺさんは一連の出来事について、当時の先生方の対応を批判する意図はないと本書で強調しています。

私たちの想像の及ばないところで、子ども同士の性被害は起きています。「子どものしたことだから」ではすまされない問題がそこにはあり、被害者はその傷を一生負います。子どもを被害者にも加害者にもしないために、大人であるわたしたちがまずその実態に目をむけることが大切です。