中古マンションの購入を検討する人なら、ぜひとも知っておきたい内見の注意ポイントを解説します。事前の準備、内見時にチェックしたい室内や共用部の様子、周囲環境など、さまざまな観点からポイントをまとめてみました。教えてくれたのは、マンションリノベーションのコーディネートを行う会社「EcoDeco」で、マンション売買の業務に携わる、宅地建物取引士の天井理絵さんです。
すべての画像を見る(全6枚)中古マンションは一点もの、購入にはスピード感が大切!
「不動産屋さんに、購入を急かされてイヤな思いをした」。よくある話ですが、不動産業に関わる立場から、筆者が言わせていただくと、人気エリアの場合などは、本当に内見当日に申し込みをしなければ間に合わないケースもあります。
この話で、なにをお伝えしたいかと言うと「物件選びは内見に行ってからがスタートではなく、内見前の準備段階から始まっている」ということ。内見してから調べたり、リサーチしたりするのではなく、内見の前にすましておくことがとても大事なのです。備えがあれば、早い判断が可能となります。
では、どんなことを準備しておくべきか。以下に、詳しく説明していきます。まずは内見前に確認できることを3つお伝えしましょう。
内見前:1.マンションの管理状況をチェック
中古マンションの築年数は、とても気になる要素です。その一方で、管理の行き届いた中古マンションは資産価値が落ちにくいと言われています。管理における最重要ポイントは「建物の長期修繕計画と修繕履歴」です。要点はこちらの4つ。
・長期修繕計画はあるか。実際に修繕が行われているか
・12~15年の周期で大規模修繕が行われているか
・給排水管の取り替えが行われているか
・修繕金の値上げ予定はあるか
この手の情報が記載されている書類は、仲介している不動産会社を通じて入手できます。内見前に、担当者に要点について質問してみましょう。
内見前:2.マンション管理規約をチェック!独自のルールに注意
管理規約とは、マンションが定めている独自のルールのことです。売り主から仲介の依頼を受けるときに、不動産会社が売り主を通じて入手していることがほとんど。使用細則や直近の理事総会書類(規約に定められる手前の最新の変更情報が書かれていることがあります)も含めると、100ページ以上のボリュームになることも。
日常生活に関するゴミ出しのルールや自転車置き場のことから、リノベーションに関わる大きなことまで、定められている内容はさまざま。内見前に不動産担当者に「ゴミ出し」「駐輪場」「駐車場」「バルコニーの使い方」「楽器、音に関すること」「ペット」などに関するルールについて確認してみましょう。
リノベーションについては、「カーペットからフローリングに変更できない」「室内のコンクリートブロックが壊せない」「追い焚き給湯器への交換禁止」「躯体へのビス打ちの本数が決められている」といったルールがある場合も。興味のある人は、必ず確認しましょう。
内見前:3.ハザードマップをチェック!災害の危険度は?
3つめは災害に対する備え。ハザードマップには「水害」「洪水」「内水」「高潮」「津波」「土砂災害」などについても記載があります。意中のマンションがあるエリアの状況を、必ずチェックしましょう。
ちなみに2020年8月28日から、不動産取引を行う際には、水害ハザードマップにおける所在地を重要事項として説明することが義務化されました。しかし義務化されたのは「水害」のみなので注意を。
災害だけでなく、地盤についても確認したいところ。2011年の東日本大震災の際の液状化現象によるマンション被害があったことは忘れてはならない事実ですよね。
これらのマップは、お住まいの自治体のWEBサイトで入手するか、国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」や「液状化予測図(東京)」などで確認することができますよ。
事前に予備知識を身につけたところで、次は、実際に中古マンションを内見する際にチェックしたいポイントを4つをみていきましょう。内見では、書類や販売図面でわからないことをチェックします。以下に説明していきましょう。
内見時:4.共用部分の管理状況をチェック!
管理のよし悪しを知るには、たとえば以下のような部分をチェックしてみましょう。
・故障箇所や修繕が必要な箇所が放置されていないか
・共有部であるエントランスや植栽の手入れがされているのか
・共有部に私物が放置されていないか
・ゴミ置き場、駐車場、駐輪場が整備されているか
内見の際は、室内だけではなく敷地全体を案内してもらうよう、リクエストしてくださいね。
また、見落としてはいけないのが「掲示板」です。多くは、マンションの集合ポスト付近に住人にお知らせしたい掲示物が貼られています。マンションの定期清掃のお知らせや、近隣の情報など内容はさまざま。
気をつけたいのが「騒音の苦情がきている」「ゴミ捨てルールが守られていない」など、住人のモラルへの注意喚起がどの程度あるか、という点です。こういったことは管理人さんが詳しいので、気になることが書かれていた場合は、不動産会社を通じて確認するか、直接質問してみてもいいでしょう。
内見時:5.街のこと、周辺環境をチェック!
内見の際には、必ずマンション周辺の環境や、「警視庁犯罪情報マップ」などで治安についても確認しましょう。周辺の環境や街の雰囲気を知るため、よほどの事情がない限りは、電車と徒歩で移動されることをおすすめします。
不動産会社のクルマに乗っての移動は効率的ですが、クルマ移動と歩いたときとでは入ってくる街の情報量が格段に違います。坂道がつらくないか、歩道があるか、人通りがあるかなどよく確認しながら歩いてみましょう。
道すがら、「不審者に注意」などと書かれている看板があれば、治安面の確認のために、さらに夜の状況も見ていただくことをおすすめします(その際は、安全対策をお忘れなく)。