災害時のための備えとして、すぐに思い浮かぶのは備蓄食材や水ですが、じつはとても大事なものがあります。
それはトイレを用意しておくこと。
「9月の北海道胆振(いぶり)東部地震の際、実際に簡易トイレを使いました」というライフオーガナイザーの田川瑞枝さんに、ご自身の体験をもとに、トイレの備えについて語ってもらいました。
災害時にあると安心する簡易トイレ。平時のうちから準備を
災害時には、電気・水道・ガスなどのライフラインが止まります。断水になったり排水がストップすると、トイレも使えなくなります。とくに排水管の使用が禁止になると、お風呂の水を溜めておいたところで、トイレに水を流すことができません。
すべての画像を見る(全3枚)私は今年、北海道胆振東部地震で被災し、トイレが使えなくなりました。
そんなときに役に立ったのが、黒いゴミ袋です。自宅の便器にひと工夫することで、簡易トイレになります。
使うのは2枚。1枚は便器を汚さないために下に敷き、使用した分を処理するためにもう1枚重ねます。
そして、その中に高吸水性樹脂を入れます。水分を含むと膨張するという性質があるもので、私が使ったものは、1gで水300ml以上を吸水。これをビニール袋の中に入れておくことで、水がなくても用をたすことができるのです。
幸いにもすぐに日常に戻ったので長期間の利用はありませんでしたが、用意しておいて本当に安心できました。
保管場所としては、災害備蓄用品とは別にして、トイレの掃除道具入れなどに入れておくと、いざというときに慌てなくてすみます。
●避難するときは大人用紙オムツが安心
避難先でのトイレ事情は、また変わってきます。防災リュックの中に入れておくと安心なのが、大人用紙オムツ。
本来の用途は介護用品なので、1袋数十枚入りでの販売ですが、いきなり1袋購入するのは抵抗があるという方は、お試し用に2枚入りが売っています。避難時の荷物のことを考えても、お試しパックがおすすめ。
ちなみに高吸水性樹脂も、紙オムツも、処理の仕方には気をつけましょう。
一般的には燃えるゴミとして処理できますが、大量の汚物を廃棄すると焼却炉が対応できないことも想定されます。災害時には、地方自治体の指定に従って捨てましょう。