●返品天国のアメリカで、より気軽に、オトクに買い物

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独特の返品ルールもまた、アメリカならではのありがたい習慣。この返品ルールは「リターン・ポリシー」と呼ばれ、大手から地元の小さな店まで、ほとんどの店で適用されます。

最終値下げのセール品など除外されるケースはあるものの、商品の品質や状態にかかわらず、購入者の「自己都合」で返品が可能に。たとえば服を買った場合、サイズが合わない、思ったより似合わないことに気づいた、想像していた着心地と違った、間違った商品を選んでしまった、ギフト用に購入したけれど不要になった、とにかく気に入らないなどなど、どんな些細な理由でも返品できてしまいます。

返品

値上げラッシュの今、「やっぱり買わなくてよかったかも…」と、後悔する場面も以前より増えますよね。日本ではよほどのことがないと返品、返金は難しいのが現実です。そういう意味で、返品自由のアメリカの買い物文化は、無駄な買い物防止にメリット大かもしれません。しかも、返品する商品の状態は、開封後でもタグがなくてもOKで、さらに言えば、使用ずみでも問題なしと、寛大そのものです。

実際に返品するのも至って簡単。近所の店舗であれば、直接買ったものを持っていくとその場で払い戻してくれます。チェーン店の場合、たとえその商品を買った店舗とは違う店舗でも、対応してもらえることがほとんどです。

購入記録があるクレジットカードやメンバーズカードなどがあれば、レシートさえ不要。返品受け付け期間は店によりますが、1か月程度に設定されていることが多い印象です。

店によっては期間を過ぎても、その商品の代金分、店で使えるクレジットとしてもらえることもあります。もちろん、オンライン・ショッピングでも返品は当たり前で、大手であればご丁寧に返品フォームと送付用の宛て先入りラベルシールまで商品と一緒に届きます。

●後日「安くなってる…」といったショックがない…!?

アメリカは今年も、11月のサンクスギビング(感謝祭)、12月のクリスマス、ハヌカ、クワンザなどのあるホリデー・シーズンが幕開け。前倒しで年に1度の特大セール合戦が繰り広げられていますが、この時期の返品受付期間はクリスマス後まで延長されます。なぜなら、クリスマスが明け、多くの百貨店やショッピング・モールで今度は、ギフトの返品ラッシュが始まるから。

じつはアメリカには「ギフト・レシート」なるものがあり、クリスマス・プレゼント用に商品を買うと価格の記載がないレシートが添えられ、受け取った人はそのギフト・レシートとともに店頭で返品すると、同じ価格分、別の商品と交換できるのです。いかにも合理的なアメリカらしい仕組みですね。

また、「買ったあと、すぐセールになっていてショック!」という事態もよくあるかと思いますが、アメリカではそうした場合の差額返金も一般的。返品と同じく、受けつけ期間は1か月ほどに設定されていることがほとんどで、店によって細かい条件は異なりますが、申請したその場で値引きされた現価格からの差額分を返金してくれます。

こうした返品や差額返金のある安心感により、アメリカ人の購買意欲が保たれ、消費行動の活発化=アメリカ経済が潤う、というからくりなのかもしれませんね。