●消費した物はリサイクルや寄付が根づく社会でさらに循環

アメリカに引っ越してきた当時、スーツケース1つ分の荷物しか持たなかった私ですが、約1週間後、住まいを見つけてすぐに家具一式を格安でそろえることができました。

その理由は、アメリカで一般的な「ヤードセール(ガレージセール)」の存在です。個人宅の庭先や車庫で不用品を並べて売っている、言わば「ひとりフリマ」のようなもの。特に、遠方に引っ越しする人のムービングセール、亡くなった人の家を処分する際のエステートセールは、たたき売り状態で激安になる傾向があります。

クレイグリスト
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不用品を代わりに販売してくれるリサイクル・ショップ「コンサインメントストア」も、質のいい品が安く買えるため人気を集めています。ヤードセールのオンライン版とも言えるご近所掲示板サイト「クレイグスリスト」の個人売買コーナーも便利。無料の出品も多々あり、私自身、新品同様の本棚や、子ども部屋に置く洋服ダンスなどを譲り受けた経験を持ちます。

結婚して子どもが生まれると、子ども服やおもちゃの「お下がり」を、友人・知人からもらうことがありますが、アメリカではそれ以外に、教会や子ども支援団体、幼児施設などに寄付でお下がりの品が集まり、ほかの家庭へと受け継がれます。

「スリフトストア」という、人々から寄付された不用品をリサイクルして販売する店がどの街にもあり、衣服や雑貨、日用品から大型家具まで掘り出し物が見つかります。このインフレの影響か、近所の店は駐車場がいつも満杯の盛況ぶりで、寄付用の窓口にも変わらず長いクルマの列ができていました。

リサイクル

わが家の不用品もまた、前述のヤードセールやコンサインメントストア、各団体やスリフトストアへの寄付、クレイグスリストなどを経て、だれかの手にわたっています。こうしてアメリカのリサイクルの循環は絶たれることなく、人々は無料もしくは格安で欲しいものを手に入れ、それもまた別の人の元へ違う形で、あるいは別のものとして届くというわけです。これも立派なSDGs。日本でも真似できそうなことはいろいろありそうですね。