最近では「はやぶさ2」が小惑星・リュウグウから持ち帰ったサンプルから有機物が見つかったり、中国政府が宇宙ステーション「天宮」を完成させたりと宇宙に関するニュースがたびたび報道されます。

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意外と知らない、宇宙での「重力」と「免疫」の関係

宇宙
「宇宙にいったらどうなるの?」と子どもに聞かれたら…?(※画像はイメージです)
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そんなニュースを見ているときに子どもから「宇宙に行ったらどうなるの?」と聞かれたら、どう答えますか? 「体が浮く」、「水が丸くなる」、「寝るときに体を固定しなくてはいけない」…などいろいろな答えが思い浮かびます。じつはそれらすべて「無重力」が原因です。

もしもそんな質問をされたときには、せっかくなので、こんな答えをしてみるのはいかがでしょう? 「宇宙に行くと体が弱っちゃうんだよ。だから、宇宙飛行士は宇宙ステーションで一生懸命運動もしているんだ」と。

●理研の博士が宇宙マウスで研究したこと

そもそも宇宙ステーションに滞在した宇宙飛行士の免疫が弱まることはよく知られていました。免疫とは、細菌やウイルスが体の中に入ってきたとき、病気にならないように細菌やウイルスを攻撃する防御システムのこと。

秋山博士
理化学研究所の秋山泰身博士

そこで、JAXA(宇宙航空研究開発機構)から声がかかったのが、免疫の研究をしている理研(理化学研究所)の秋山泰身博士です。

秋山博士はもともと薬学の博士で、宇宙の研究をしていたわけではありません。しかし、子どもの頃に『ドリトル先生航海記』を読んだことをひとつのきっかけに、さまざまなジャンルに興味をもち、研究してきました。

そこで、秋山博士はこの研究に積極的に参加。とはいえ、秋山博士が直接宇宙に行ってなにか実験をしたりするわけではありません。そういった実験を直接行うのは「宇宙飛行士」の役割です。

●臓器の重さから「宇宙での重力と免疫の関係」を調査

今回の実験では秋山博士が宇宙飛行士の体を直接調べるわけではありませんでした。秋山博士が参加したチームが行ったのは「ある臓器を取りだして、重さを調べる」ということ(その他の実験もしています)。

これは、臓器の重さから「宇宙での重力と免疫の関係」を調べるのですが、人間の臓器を取りだしてしまうことはできません。そこで、宇宙ステーションにマウス(ハツカネズミ)を連れて行くことになりました。

いろいろな選抜を経たマウスたちは、ロケットに乗ってISS(国際宇宙ステーション)に到着します。そこで、宇宙飛行士の手によって「人工的につくられた重力(人工1G)で生活するマウス」と「無重力で生活するマウス」に分けられます。

そして1か月生活すると、また地球へ送り返されて、地球でもさまざまな実験を受けます。

そのなかで、秋山博士たちのチームが参加した「胸腺の重さと宇宙空間での重力の関係」についての実験についてご紹介します。