●言葉でのコミュニケーションを大切に

イラスト
(ご本人提供)
すべての画像を見る(全23枚)

ただ大変な出来事もあります。犬さんを迎えてすぐに動物病院で“心臓肥大症”という症状であると告げられました。

「犬ちゃんは心臓肥大症で、朝晩とお薬を飲んでいます。正式にお迎えしてから心臓肥大症だとわかって、せっかく会えたのにもうお別れなの? と動揺しました。でもTwitterに投稿したら『うちの子もそうだったけど20歳まで生きたよ』という経験談や日々のアドバイス、励ましの言葉をいただいて安心しました」

犬と女性

「海きれいだね」「お天気よくてよかったね」てらおかさんは犬さんの名前を呼んで、たくさん話しかけていました。日頃から言葉でのコミュニケーションを大切にしているそうです。

「うちに来てからトイレを覚えたのですが、今も上手にできたらえらいねってほめるようにしています。あと『大好きだよ』って言葉は毎日伝えています」

てらおかさんは「犬ちゃんは言葉がわかるんです」とも言いました。てらおかさんが言葉を理解していると思った出来事を聞いてビックリしました。

「出かけないといけないときに『19時に帰ってくるよ』と犬ちゃんに伝えたら、18時頃までぐっすり眠ってるんです。18時頃に起きてきて、そしたら玄関へ移動して待っていてくれるんです。別の日に他の時間帯であっても同じ行動を取ります。だから何時に帰ってくるか具体的に話しておくと、それまで眠ったり安心できるので、ちゃんと伝えるのを大切にしています」

駆け寄る犬

「私が犬ちゃんのお世話をしている感覚はあまりなくて、むしろ犬ちゃんにお世話をしてもらっていると思っています。散歩もそうですし、朝は犬ちゃんが『そろそろ起きなさい』って言うみたいに私の頭を鼻でつついてくれるんです。それで私が起きると大喜びします。毎朝起きたらそれだけで喜んでくれるのがうれしい」

犬に迎えられて、“今日”を始められる。昨晩おやすみを言い合った犬が朝にはしっぽを振ってくれることが、どんなに心の拠り所になるのか身をもって知っている。てらおかさんの言葉を反芻しながら「…それは大きな歓びですよね」と言うと、てらおかさんは「はい」と強く頷いてくれた。犬はどんな灯台よりも明るい。

海辺にたたずむ犬

「犬ちゃんがうちにやってきて、ちっちゃい変化が毎日ちょっとずつ起こっています。ちょっとずつ、ちょっとずつ笑顔が増えてきているのを感じて、毎日うれしいです」

笑う犬

「つい1か月前から名前を呼んだら振り返って近寄ってくれるようになりました。となりに座ってくれるようになって喜んでいたらおしりをくっつけて座ってくれるようになっている。その度に『当初に比べたら仲良くなれたかな』と思っていたらもっと仲良くなれている…。毎日1ミリずつ仲良くなっていると感じるので、日々を重ねて距離を縮めていけたらうれしいです」

話してくれている中でてらおかさんは“少しずつ”や“ゆっくり”という言葉をよく用いていました。そこから犬さんと過ごす1日をひとときを心から大切にしているのが伝わってきました。そして犬さんの心をなにより尊重していることも。

無理に距離をつめようとしないで、犬さんの準備が整うのを待っている…そして犬さんが飛び込んできたときは抱きしめられるようにいつだって腕を広げているような寛大な印象を受けました。

イラスト
(ご本人提供)

これからてらおかさんと犬さんが一緒に生きていくなかで、犬さんの絵も少しずつ増えていくのでしょう。それを拝見するのがとても楽しみです。