●運命的な出会いを果たす

作業部屋に飾られた絵
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てらおかさんを見守っているのは犬さんだけではありません。

作業部屋にはてらおかさんが描いた一枚の絵が飾られていました。「この子は子どものころ一緒に暮らしていた犬です」と教えてくれました。

てらおかさんは小学生の頃どうしても犬と暮らしたくて、両親に何度もお願いをしたそうです。そしててらおか家にミニチュア・ダックスフンドがやってきて、てらおかさんにとってもご両親にとっても大切で特別な存在になりました。それは亡くなった今も、きっとこれからも。

ご実家で犬と暮らしていた当時から保護犬に関心があったと話してくれました。

「定期的に里親を募集するサイトを見ていました。うちで引き取る余裕はなかったのですが…、『今はこんな子がいるんだ。いい家族に会えますように』と思っていました」

ご実家の犬さんが亡くなって、てらおかさんは大学進学のため実家を出て、歳月を経て…現在関東で暮らすようになって、住宅環境なりさまざまな面で犬を迎える準備をしてきました。

海辺の犬

そして里親と保護犬を繋いでくれるサイトで、てらおかさんと犬さんは出会いました。

「私の使っていたサイトは、自分の暮らし方や性格を記入します。一軒家やマンションとか、アウトドアや大人しい性格などと記入したら、自分に合った保護犬を紹介してくれます。そこで犬ちゃんを紹介してもらいました。実家で一緒に暮らしていた犬と見た目がそっくりで、同じ名前だったんです。そしてとても悲しそうに見えました」

昔一緒に暮らしていた犬と同じ名前、そしてそっくりな見た目をした子との出会い。

「犬を飼いたいというより、昔一緒に暮らしていた犬ちゃんとまた暮らしたいと思っていました」

私はたとえ柴犬の集団の中に北田家の犬がいても見つけるし、きっとてらおかさんもそう。犬種が同じとかではなく本当にそっくりさんだったのだろう。

犬の足

「保護犬を引き取るのは勇気がいることだと思っていました。でもおうちはいつでも保護犬を迎えられる準備ができていて、だから会いにいく勇気も出ました。違う犬だって心ではわかっているのですが、どこかで以前一緒に暮らしていた犬に会いにいくような気持ちで向かいました。そっくりではありますが、一緒に暮らすようになってから、どんどんこの子の個性が見えてきました」

気持ちよさそうな犬

2週間のトライアル期間を経て、2021年7月にてらおかさんと犬さんとの暮らしが始まってから四季を一巡して2年目に入りました。てらおかさんは決して昔の犬さんの面影を犬さんに重ねているのではなくて、ふたりともにふたりだけの愛情を注いでいる。日々の中で発見したのは、色とりどりの個性。

「昔一緒に暮らしていた犬ちゃんは赤色がすごく似合う子でした。顔立ちも毛の色も本当によく似ているのに、今の犬ちゃんからイメージするのは赤色ではなくて、茶色、灰色、青色なんです」