●欲しい人に使ってもらう

男性3人
夫のものを身に着けてくれた人たちが送ってくれた写真。みなさんの気遣いがありがたくて、本当にうれしかったです
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洋服や雑貨、漫画、DVDといったものは、身内や知人、友達など、もらってくれる人にどんどんあげました。さらに寄付したり、車やゴルフクラブ、未使用のものやブランドものは売ったり。なるべく捨てたくなかったので、誰かが引き継いで使ってくれるのは本当にありがたい限りです。

ネクタイをつけた友人の息子

ネクタイをもらってくれた友達の息子さんは、なんと大学の卒業式で夫のものを着けてくれて感動!

知人

趣味のスポーツ関係のものは、夫の友人や所属先のチームメイトに相談をし、同好の仲間たちで分けてもらいました。夫の服を着たところを写真で送ってくれたのですが、みんなとてもお似合いで夫もさぞ喜んでいることでしょう。

形見分けとなると無理やり押しつけるわけにはいきませんが、親しい人や同じ趣味の人であれば相談は可能かと思います(負担にならない程度にとどめることだけ気をつけて)。

●故人の気配を写真に残す

箱
夫が帰宅すると財布や鍵などを投げ込んでいた箱。日常すぎるものがいとおしいのです

とっておきたいけれど、持ち続けられないもの。たとえば、大量にある洋服や本、家、食品、などは写真を撮っておくと記憶に残せます。あとで何度も見るものでもないのですが、とりあえず写真にあると捨てる抵抗感が薄れます。私は1つ1つ単品でものを撮るのは面倒なので、状況証拠写真のようなノリで残しておきました。

部屋の中
私が仕事中に見ていた構図。テレビの前に夫がドンと鎮座する後ろ姿が、この写真を見るだけで思い出せます

結局、遺品で残したいのは「もの」ではなく、その人の気配なのです。触感だったり、顔や声が浮かぶものだったり、汚れや傷がいとおしいものであって、それがものにくっついているという感じです。だから、きれいじゃない、ありのままの日常も撮りました。夫の痕跡は、もう二度と手に入らないからこそ、写真に残す価値があるんじゃないかなと思います。

後編では、日用品や夫の使っていたものの遺品整理作業ポイントをご紹介します。

 

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