●普通の人を健康に寄せていくレシピを広めたい

長谷川あかりさん
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――栄養学を徹底的に学んだことで改めて感じたことはなんでしょうか?

「毎日の食事の中で多くの人を健康な方向へと寄せる、“公衆栄養学”というジャンルを、管理栄養士として広めていきたいと強く思いました。ただ、栄養の学問って、おいしさや見映えなどとはあまり関係のない、地味といえば地味なジャンルなんです(笑)。だから、SNS、そして外食や中食の多様化で目や舌が肥えてしまっている現代人の生活のなかで、だれが、どういうスタンスで体に優しい料理を広めていくのか、というのは大事かもしれません。

そういう意味では、10代の頃に芸能活動をしていたのは、マイナスになっていないのかもしれませんね。当時の仲間たちが、私のレシピをつくってSNSに上げてくれることも増えてきて、ありがたいです。芸能活動をしていたことは、とくに隠すことでもなく、かといって過剰にアピールすることでもないかなと思っています。それでもなにかの形で、皆さんが栄養や料理の楽しさについて触れるきっかけのひとつになっているのだとしたら嬉しいです」

 

●調理技術は気にしなくて大丈夫、と発信したい

「これだけ忙しくてなんでも溢れている今の時代、自分でちゃんと料理をしようと思えるって、それだけですごいし、真面目な人だと思うんですよね。だからこそ、食材の切り方とかも教科書通りにきちんとやらなきゃ、と思ってしまうかもしれないけど、お店の料理じゃないので、多少雑でも楽しくつくって、おいしく食べられるほうが大事。毎日のことなので、必要以上に技術技術を気にして悩まなくても大丈夫だよ、ということは発信していきたいです。

また、煮込みハンバーグとか、洋食的なものって毎日食べるには重たいですよね。外食が続くと疲れちゃうのは、おいしすぎるから。なので、毎日『すごくおいしい!』みたいな100点満点じゃなくていいはず。家庭料理で100点満点のおいしいは目指さなくていい、それよりもつくっている時間が楽しく、そしてつくり手の自己肯定感が上がるものであってほしいなあと思っています」

ーーレシピで「時短」という言葉をあまり使わないのも、意図があるのでしょうか?

「そこにあまりこだわりすぎないほうがいい、と思っています。あくまで『おいしそう』『つくってみたい』が先にあって、つくってみるとそんなに難しくなかった、というレシピを目指して。

投稿して人気だったレシピにしょうゆだけで味つけするから揚げがありますが、簡単とはいえ、やっぱりそれなりに少し手間はかかるんですよ。決して、時短レシピじゃない。でも、いいんです。自分なりに『この味がおいしい』『これを追加してみるとどうなる?』と、研究を重ね続けて、家族や友人達にも、ご機嫌な態度で振る舞える一品なんです。

だれもが軽やかに挑戦できて、その人なりの工夫をする余白もあり、それでいて気がついたら栄養も摂れて……。『こんなものがつくれちゃう。なんだか私ってすごいかも!』と思えるもの=料理、というイメージにしていきたいです」

「しょうゆだけから揚げ」レシピ

唐揚げ

【材料】

鶏もも肉1枚、しょうゆ 大さじ2、小麦粉 大さじ1と1/2、片栗粉 たっぷり、油 大さじ3(フライパンの底全体にいきわたればOK)

【つくり方】

食べやすい大きさに切った鶏肉としょうゆをジッパーつき保存袋に入れ、肉が完全にしょうゆを吸い込むまでもみこむ。小麦粉を加えてもみこみ、さらに片栗粉を加え、袋を振って全体にまぶし、袋ごと握って、片栗粉を肉に密着させる。
フライパンに油を注いだら火をつける前に肉を入れ、弱めの中火で合計8分ほど両面を揚げ焼きする。ひっくり返すとき以外は肉に触らないこと。最後強火で片面30秒~1分ずつカリッと揚げ焼きにして完成。

片栗粉をまぶす前に小麦粉でお肉をコーティングすることで、衣サクサク&口の中でほろっとほどける不思議な食感に。

 

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