●要介護になった父。実印を見るたびに不快な思い出がよみがえる

あれから30数年の時が経ち、老いた父は認知症のような症状も出てくるように。大人になった私は、父に代わって様々な手続きをする機会が増えました。そんななか、父の実印と一緒に保管されていた「鑑定書」と書かれた書類に驚愕。

「加藤晋印」と、印鑑に掘る文字を漢字4文字にすることで、開運になるという内容で、ハッキリいって占い自体も雑すぎると呆れました。

印鑑2
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父に「あの印鑑、いくらしたの?」と聞くと、「たいした金額じゃないよ」とごまかしてきたのですが、しつこく問い詰めるとやっと「本当は1本40万くらいの価値があるものなんだけど3本セットだと割引になるって、100万くらい払ったんだったかなぁ」と。驚きました。
そうでなくとも気が滅入ることが多い介護。父の実印を見るたびに、当時の嫌な思い出がよみがえって不快な気分になります。

もう30年も前の話で、印鑑を売りつけてきた喫茶店は今はもうなく、オーナーの所在もわかりません。当時しっかり追及しなかった私の母や祖父母などの大人たち、そして父自身の責任でもあるのでお金の部分はあきらめていますが、今になって思えばしつこい勧誘を受けなかっただけでも助かりました。

父自身、よくも悪くも隠しごとができない性格なので、だまされやすいけれど家族がすぐに介入できたことがよかったのかも。

だいぶあとになってからテレビや雑誌などで、これがオーソドックスすぎる「印鑑商法」の手口であったことに気がついて、改めて危なかったなと感じています。

●いい人のふりをしながら近づいてくる

数珠

精神疾患がある人は、自分の居場所や人間関係を自分で壊してしまうこともあるので、周りが気がついたときには事態が深刻化してしまうケースもあるようです。

いくら家族といえども、四六時中つきっきりで生活することはできません。しかし弱い人をターゲットにし、いい人のふりをして近づいてくる団体や人物がいるということを家族や本人がしっかり認識しておくということが重要ですね。

 

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