作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんによる暮らしのエッセー。今回は、DIYで叶えた理想の暮らしについてつづってくれました。
第76回「DIY的なこと」
すべての画像を見る(全7枚)ああ、ここにもう一段棚があったら、フックがあったら便利なのになと思うことが多い。耐震を考えるとあまり積み上げることもできない上、捨てられない私としてはデッドスペースをいかに活用するかにかかっている。
この頃はDIYのテレビ番組も増え、自分で家をリメイクすることもスタンダードになってきた。中学生の頃は技術の授業があまり得意ではなかったけれど、展覧会を各地で開催するようになってから、金槌やノコギリはお手のもの、ペンキやパテを縫ったり、インパクトも上手に使えるようになってしまった。自分の手がこんなに器用に動くようになるなんて、子どもの頃には想像もしなかった。
●「こうだったらいいのにな」を自分で叶えるのがDIY
愛媛の実家では、竹林で竹を切って、そうめん流しのスライダーを作ったり、バターナイフをこしらえたりと遊びの延長線で竹細工をしてみるのが最近の楽しみだ。
東京でも、ちょっとした板と金槌、ノコギリ、釘、ペンキくらいはいつも揃えている。これらの道具はたとえ電気がストップしても使えるので、防災グッズの一つとしても役に立つのではないだろうか。
DIYの面白さは、「もう少しこうだったらいいのにな」を自分で叶えられるところだ。大工さんにお願いするまでもないけれど、はさみやカッターよりはちょっと難しそう。でも、手を伸ばしてみると、夢中になれる。
●既製品がないなら作ればいい
我が家は築40年の一軒家なので、シンクの作りも少々レトロ。流しがやたら長かった。この右側がもう少し縮まって、料理のときに洗った食材を置けたらいいのになあ。あ、そうだ自分でこのサイズに板をカットして作ればいいな。家にストックしている板から丁度いいサイズを探し出し、シンクのカーブに合わせて鉛筆で線を引いてノコギリで切っていく。既製品でないので、じぶんの台所にぴったりのオーダーメイドだ。30分くらいで完成してしまった。私、やれるじゃないか。夫が仕事から帰ってきて、「すごいだろ」と自慢してみるのもまた誇らしい。
それを皮切りに、私は家のちょっとしたところをトンカンしてみるようになった。調味料を置くための台は、重いものを上にたくさん置くので分厚めの板でワの字型にしてみた。本や瓶は重たくなり、だんだんと湾曲していくので2センチ以上ある板がいい。
引っ越したばかりのときタオルかけがなかったので、前回紹介した森永よし子さんのワイヤー作品を買って取り付けることに。しかし、壁の中はほぼ石膏ボードでできているためにネジを打ってもすぐにボロリと取れてしまう。壁をノックしてみて、低くて鈍い音になったらそれが石膏ボードでなくて柱がある場所なので柱を探して打ち付けるのがいい。だいたい45~50センチ間隔で柱があるようだ。我が家の場合、タオルかけは、横向きに取り付けるのが難しくて、縦向きに取り付けて使っている。
と、調べていたら「ボードアンカー」なるものを発見!! 石膏ボードにこの白いアンカーを打ち付けることで簡単にネジが入るようになるみたいね。今度チャレンジしてみます。
●持っている食器に合わせて棚や収納も作れる
食器棚も自分の持っている器のサイズに合わせて作ってみた。これはさすがに一人ではできないので夫に手伝ってもらった。食器が増えていくのに合わせて下の段を少しづつ増やしている。
棚板を直接打ち付けるのは大変なので、軽いものであれば、高さを決めて線を引きそれに沿ってまず長めの木片を左右に打ち付けて引っかかりをつける。そこに板を渡しすだけでも即席の棚になる。強度がほしければ下からビスを打てばいい。
また、棚の側面にはフックを取り付けて、軽いまな板やミトン、鍋敷きなどを引っ掛けられるようにした。これは、とても便利です。
とまあ、ちょっとした工夫で少しずつ暮らしやすくなっていくことが分かってきた。家で過ごすことの多い仕事なので、日々を快適に過ごせることを目指してこれからもトンカンやってみようと思う。