閉経前後の10年を指し、6割の女性が不調を感じるという更年期。人によって症状もさまざまですが、ほかの人の体験を読むことは、理解を深め、不安を和らげることにもつながります。ここでは、更年期による体調の変化で悩んだ経験があるという、現在58歳の料理家・飛田和緒さんさんにお話を伺いました。ホットフラッシュ(多汗、のぼせ、ほてり)や記憶力の低下を軽減するための工夫もご紹介します。

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突然訪れた更年期の不調。周りの助けを借りて抱え込まない

エプロン女性
料理家の飛田和緒さん
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体がズドーンと沈み込むように重くなり、動けない。飛田和緒さんの体に突然不調が表れたのは、50歳をすぎた頃でした。

「ごはんをつくるのもキツくて。家族に『今日はつらい日なんだよね』と伝え、家事も仕事も休みました」

でも調子が悪いのは月に1日だけ。翌日には回復していたこともあり、更年期かも…と思いながらも、とくに対処はしていなかったという飛田さん。しかし閉経から1年後、55歳になるとさまざまな不調が一気に表れ、かかりつけ医の元に駆け込みます。

「関節痛で歩くのがしんどくなったり、起床時に手がしびれたり。健康診断でいろいろな項目の数値がグッと悪くなったのも、55歳でした。お医者様いわく、体質的なものもあるけれど、どれも更年期によく見られる症状だと。そこで運動をすすめられ、バレエストレッチとスポーツクラブ通いを始めました」

 

●大量の汗で収録がストップしたことも

ホットフラッシュが始まったのも、まさにこの頃。

「異常な汗の量で、汗でイスにお尻の跡がつくこともしょっちゅう(笑)。風通しがよく、速乾性の高い服を選んだり、イスに座るときにはタオルを敷いたりして対処してきましたが、あまりの汗にテレビ番組の収録を止めてもらったこともありました。でもそういうときは、自分から『お年頃なんです』って言っちゃうの(笑)。その方が周りの人も気を使わないんじゃないかしら」

体と心の変化を自分1人で抱え込まず、柔軟に対応してきた飛田さん。気力や集中力の低下への対処法もまた、飛田さんらしいものでした。

「仕事も家事も、複数のタスクが一度にこなせなくなってきたうえに、やらなきゃいけないことをすぐ忘れちゃうんです(笑)。だからその日やるべきことはメモに書き出して、1日数回チェック。負担に感じていたレンジフードや窓の掃除は、プロにおまかせするように。おかげで、“やりたいのにできない自分”に感じていたストレスがなくなり、気持ちも暮らしもうんとラクになりました」