風邪やインフルエンザが流行する季節が到来。普段の暮らしのちょっとした選択が、免疫力を高め、予防できるかどうかの分かれ道になります。
ここでは医師の今津嘉宏先生に、正しい予防法や、かかってしまったときの対処法を教えてもらいました。
免疫力を高め、ウイルスを寄せつけない体に!
寒さが厳しくなるにつれて、空気が乾燥し流行するのが、風邪とインフルエンザ。
「じつは、『風邪』という病名はありません。せきやくしゃみ、鼻水、悪寒、頭痛などいくつかの総称を、便宜上風邪と呼んでいるだけなんです」と、今津先生。
すべての画像を見る(全5枚)「その原因となるウイルスや細菌が、200種類以上あって、インフルエンザウイルスもそのひとつ。突然の発熱で発症し、全身の倦怠(けんたい)感、鼻水やせきなどの気道症状、食欲不振などの消化器症状を示します。また、幼児がかかると中耳炎や発疹、熱性けいれんなどの合併症を起こすことも」
風邪もインフルエンザも、かからないために大切なのは、免疫力を高めること。
ウイルスや細菌にさらされても、免疫力が高ければ感染しなかったり、感染しても症状が軽くすむことも多いのです。
「よく眠ってバランスのよい食事をとり、体を冷やさないなど、基本的なことが大切。インフルエンザ対策としては、予防接種で免疫をつけておくことが最良です」
風邪やインフルエンザにかかってしまったときは、早めの対処が大事
それでも感染してしまったときは、正しい対処でできるだけ早く治したいもの。
「正しいケアで、早く、しっかり治し、寒い冬を元気にのりきりましょう」
決め手はやはり、“免疫力”です。
●目覚めの1杯を白湯にする
便秘解消などの目的で、目覚めたら冷たい水を1杯飲む習慣がある人も。でも、風邪っぽいときはしばらくストップ。
ある実験結果では、10℃の冷水180mlを飲むと、15分以上体温は下がったままに。本来なら体を温め免疫力を高めたいのに、体を芯から冷やしてしまいます。
朝最初に水を飲むなら、冷水ではなく白湯に変えましょう。
●ご飯を食べるなら梅がゆを
風邪をひくと食欲が落ちますが、なにも食べないと栄養不足で回復が遅くなります。
おすすめは、おかゆに梅干しのトッピング。梅干しのクエン酸には、エネルギー補給や食欲増進、殺菌作用などの風邪の改善効果が期待できます。
一方、普通のご飯は消化にエネルギーを使うので、避けて。卵も加熱した方が消化しやすくなるので、卵かけご飯は食べない方がベター。
●高熱のときはお風呂に入らない
風邪のひき始めで高熱がなければ、お風呂につかってOK。冷めないうちに布団に入って寝れば、気分よく眠れます。
ただし、38.5℃以上の高熱のときや、体力がなくて面倒に感じるときは、エネルギーを消耗してしまうので入浴自体避けましょう。
風邪のときにシャワーだけですませるのは、体を冷やすのでおすすめしません。
●うつぶせではなく横向きに寝る
風邪を早く治すには、良質の睡眠をとって体をしっかり休めることが欠かせません。けれど、風邪をひいているときは夜になるとせきがひどくなり、なかなか眠れないということも。
そんなときにおすすめなのは、横向きで寝ること。狭くなった気管が広がって、呼吸をしやすくなるうえ、せき止めの効果も期待できます。
●おでこよりおへそを冷やす
風邪で熱が出るのは、体が免疫を活性化してウイルスや細菌と闘うため。サポートするためには、体を温めることが大事です。
けれど、39℃以上の熱が出ると脳障害が生じることもあるので、下げる必要が。
そのためには、おでこよりおへその上が有効。おへそには大きな血管(大動脈)が通っているため、全身に行き渡る血液を効率的に冷やし、体温を下げることができます。
医師がすすめる、温かいドリンク&フード
●焼きミカン
日本の温州ミカンはβ-クリプトキサンチンが豊富で、体内でビタミンAに代わって皮膚や粘膜の免疫力を向上してくれます。
おなかを冷やさないよう、皮ごとトースターで焼き、皮をむいて食べるのがおすすめ。
●ホットスポーツドリンク
風邪をひいたときは、発熱などで水分が不足しがち。水分を体に吸収しやすく、栄養補給もできるスポーツドリンクを人肌に温めて飲めば、体を冷やすこともありません。
体を温めたい朝に飲むのが効果的です。