グラフィックデザイナーの西出弥加さんと訪問介護の仕事をする光さん夫妻は、夫婦ともに発達障害という共通点があります。妻はASD(自閉スペクトラム症)、夫はADHD(注意欠如・多動症)の特性をもち、お互いに助け合いながら暮らしています。苦手分野を克服しながら生きてきた2人ですが、今回は暮らすうえでまだまだ困難な部分をリアルに話してもらいました。

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ADHDの夫と暮らすリアル。家事が極端に苦手すぎて…

ADHDである夫。ちょっとずつ成長は遂げているものの、それでもまだまだ暮らすうえで困難な部分も多いのは事実です。今日は、そんな困難な部分を正直に書いてみようと思います。

●夫と同じADHDだった叔母は掃除ができない

私は、ADHD気質の強い夫と結婚する前から、ADHDの人といることがとても多かったです。まず親戚にADHD気質の人がいました。叔母です。

私の叔母は夫よりも気質が強く、掃除、金銭管理、書類作成などが極端に苦手です。掃除をせずにものばかり集めるので、ついに部屋の床が抜けたこともありました。

ゴミ屋敷
以前、叔母が自宅にためこんでしまったものを私が処分したことがありました

掃除しなくとも叔母は元気なので、ひとりで住んでいる分には何も問題はないです。ただ、誰かが同居すると問題が山積みになります。

子どもたちと住んでいた20年あまり、子どもたちだけが喘息になっていました。私も昔、その家に遊びに行き、鼻水が止まらずアレルギー反応を起こしました。原因はホコリです。叔母は私たちのことをとてもよく想ってくれるのですが、喘息や鼻水の原因が掃除をしないせいだと気づけず、その症状に効く自然食品やオーガニックの栄養剤を買ってくれるのです。

根本原因を消して解決しようという発想が叔母にありません。マイナスをゼロにすることはできず、マイナスのままプラスを追い求めるので、何をするにも大きな費用がかかっていました。

●保険やWi-Fiの解約も放置したまま…

私の夫である光くんもこの状態と似ているところがあり、過去を振り返るということがありません。ですので、保険やWi-Fiの解約ができません。一度契約したらそのまま、使ってもいないのにお金を支払い続けているのです。

一方、私のほうは、過去を振り返り、一つずつ問題解決してからでないと前に進めないため、大袈裟かもしれませんが、そんな叔母や夫を見ると絶望する瞬間があります。結局、そんな2人を放っておくことができず、私が夫と叔母の家の掃除や解約手続きをやることになっています。