・(3) “指示待ち”してもいい環境だから
そして3つ目は、利用者さんがなにをしてほしいか、指示をくれるからです。例えば「車椅子を押して、ここに連れて行って」「体を起こして」「インスタントコーヒーを入れて」などです。
すべての画像を見る(全5枚)ゆっくりとしたペースでタスクを1つずつ夫に投げてくれるそうです。随時「指示をしてくれる」状態が夫にとっては大変働きやすい環境だったのです。
夫は社会人になってから、働けど働けど自分で考えて行動することが苦手で、極端な指示待ち人間になってしまい、気が利かないと思われがちでした。または丁寧に教えてくれる上司に応えられず、上司と本人ともに、すごく疲弊してしまうのです。
しかし訪問介護のように1対1で向き合い、指示を1つ1つもらえれば、夫は的確に動けます。そしてマルチタスクではなく、相手が丁寧に指示をしてくれるので、より動くことができるというわけです。
大勢が集まるオフィスでは、下手したら夫が歩いているだけで、忙しい人に「どいて!」と言われてしまうかもしれません。静かな部屋で利用者さんだけに注目できる環境が夫には合っています。
介護の仕事へは集中力が発揮できる
夫は不注意によるミスで困っていますが、すべてにおいて不注意が起こっているわけではありません。興味がないことにはドーパミンが働かずミスが頻繁に起こりますが、興味が向くことには集中できます。この介護に関しては集中が続いている状態です。おかげで、長年夜勤の仕事ができています。
夫はほぼほぼ利用者さんのお宅にいて、自宅に帰ってくる時間が少ないので私も1人静かに仕事ができるようになりました。
●苦手なことはやらないをモットーに生きたい
私たちは出会ったときから、ずっと「こうあるべき」という固定概念を捨て、自分達にとってラクな環境を探し続けたので、今はかなり生活しやすくなりました。
苦手分野には手を出さないようにし、自分達が最低限できる分野のみに絞って努力をしました。得意分野を探して伸ばすという考え方より、「最低限できそうなことをする」という考えをもって行動しています。
これからも時代は常に変わり、環境も変化すると思うので、また大変なことが起きたときは、そのとき思いつく新しい方法を探し、また色々と試みようと思います。