つるバラなら、狭い庭でも手軽に植えられる

道路からセットバック
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周りの家と同じように道路際まで建物を寄せると、無機質で冷たい印象に。そこで、セットバックさせ、植栽と組み合わせた、立体的なファサードをつくりました。

 

白いつるバラ

植栽を植えるのには、土のスペースが必要。ですから、都市部の狭い敷地では、難しいと考えている人も多いと思います。しかし、それを可能にする植栽があります。それは「つるバラ」です。

 

つるバラ

つるバラはその名の通り、つる状に伸びていきます。冬の間に誘引をする(なるべく横に伸ばす)と、春になってぐっと上に伸びていって花を咲かせます。根本の枝は数本程度なので、直径50㎝程度のスペースがあれば植えることができます。

 

足元には多年草

足元には、植えっぱなしで毎年花が咲く多年草を植えます。花が咲く時期には、足元に多年草、上部空間にはつるバラが建物に彩りを添えてくれ、魅力的なファサードが生まれます。

上の写真は、自宅のファサードです。いろいろな花が咲き乱れる初夏は、1年でいちばん美しい庭が出現します。壁を白いキャンパス。植物の絵が描かれたファサードは、季節ごとに変わっていき、家の前を通る人をも魅了します。

駐車場にしようとしている道路面の一部の場所を土にして、塀や建物をバックに植栽で彩ってみてはいかがでしょうか。

 

敷地に塀をつくらない手も。そのうえ防犯にも配慮を

塀代わりの扉が閉まっているところ

もうひとつ少し変わった手法を紹介します。

筆者の家では、道路と敷地境界に設けることが多い塀がありません。代わりに、建物の入り口に玄関扉と兼用で設置しています。そして塀にあたる扉の奥は中庭をつくりました。

この塀までは、道路から3m奥まっています。その間のスペースは、植栽スペースに。道路と敷地をさえぎるものはなく、近所の道ゆく人を楽しませる「場」にもなっています。

 

塀代わりの扉を開けたところ

この塀は防犯以外にも、夏の西日、冬の木枯らしを遮断してくれます。もちろん塀を開け広げれば目の前の庭と一体となり、開放的な中庭が出現します。

 

今の中澤邸

中庭に面した部分以外に窓はなく、塀を閉めると道路からは壁しか映りません。その白い壁をキャンバスに、つるバラが緑の絵を描くように立体的に伸びていきます。季節や年により毎年違う咲き方、季節ごとに違う姿で表情を変える建物の顔として、植栽が主役のファサードとなっています。