●生活の中で、任務が与えられたほうがいい人

夫は日に七回も転んだ日があって、それ以来、歩くのがひどく下手になったが、食事もトイレもすべて自分でする。食べるという本能の前には、人間はかなり無理をしても動けるのかもしれない。だから、できるだけ自分で食事を取ってもらう習慣を続けることだ。優しく食べさせてあげることが、必ずしも親切ではない。

病人にも、老人にも、生活の中で任務が与えられていた方がいい。「お使いに行ってきますから、玄関のベルが鳴ったら、ゆっくりでいいから出てください。ついでにドロボーの番もしてください」と私は言う。すると、「よし、分かった」などと答えている。

若いときと同じように生活したり、仕事をすることが難しくなると、気持ちが滅入ることもあるかもしれません。

老後の過ごし方で大事なのは、程よく手抜きをして怠けること。なるべく「安心しない」毎日を過ごし、脳や体を動かすこと。同居している家族がいるなら、ちょっとした任務を与えること。

これらをバランスよく取り入れることで、ネガティブに考えがちな「老いの苦労」が、「生きる楽しさ」へと変わっていくはずです。

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